私が20代前半の頃の話。
上京後、職を転々としていた私は金銭的に余裕が無くなってきたので思い切って引っ越しをしようと決意した。
今の家賃より少しでも安くなればいいと思い不動産屋を訪ねて部屋を探していると、気になる部屋が目にとまった。
小さなアパートだが、今より家賃が安くなるし、場所も都内からそんなに離れていない。
この部屋に決めたいと思っていたが家賃が安い理由があるのでは?と内心思っていた。
「家賃安いですけど、曰く付きではないですよな?申し訳ないですが、そこまでして引っ越ししたくないんですよ。」
「いえいえ!曰く付きだなんてそんな。みなさん、初めはそうおっしゃるんですよね…安くて場所も悪くないし、そこまで建物自体古くもない。疑いたくなる気持ちはわかります。こちら側としてはご契約者様が怪しいと思うのであれば他のお部屋をオススメしております。こちらから提案しなくてもこの部屋が契約されるのは時間の問題ですので。」
「いいお部屋なのに決めなくていいんですね?
せっかくのチャンスなのに勿体無い。」
という雰囲気に少しムッとした。
他の人に見つかる前に、早めに決めようと思い勢いで契約をすることに。
私自身、霊感があるわけでもないので、何か視えたり経験したりしたこともない。
それに安くて場所もいいということなので私にとって断る理由が特にないと自分に言い聞かせ納得しようとした。
数日後、引っ越し作業を終えた夕方頃に挨拶回りに行こうと考えていた。
私の部屋は1階の奥の部屋。103号室
アパートの敷地内に入って奥側。
とりあえず1階の2部屋と上の1部屋に行くことに。
隣の部屋を訪れたが不在だった。1階にある残り1部屋101号室を訪れると中年の男性が出てきたので軽く挨拶をして手土産を渡し無事に挨拶を終えた。
最後に私の部屋の上の部屋203号室を訪れたがここも不在だった。
他の部屋の表札を見ながら自分の部屋に戻り、部屋の片付けを行い、他の住人の帰宅を待つことに。
時間が過ぎ、就寝しようと布団に入ると隣の部屋のドアの音がしたのに気づいた。
「さすがにこの時間帯は失礼だな。明日、また行こう。」と思い目を閉じた。
引っ越しの疲れからかすぐに寝落ちし、夜中に微かな物音で目が覚めた。
カッカッカッカッ
誰かの足音のようで耳を澄ませているとどうやら上の部屋の住人のようだ。
「こんな遅くに帰宅なんて、大変だな。夜の仕事をしてる方かな。」と思いまたすぐに就寝した。
翌朝8時頃に隣の部屋を訪ねてみたが不在。
上の部屋の方はさすがにまだ寝てるだろうと思い挨拶には行かなかった。
なかなかタイミングが合わないなと思いつつ、自宅周辺を散歩することに。
すると101号室の男性がちょうど部屋から出てきたので「おはようございます。」と声をかけた。男性は軽く会釈をしながら小さな声で「おはようございます。」と言い残しどこかに歩いていった。
私は自宅周辺を30分〜40分ほど散歩し、帰宅しようとアパートに向かっていると、前方から101号室の男性が歩いてきた。
「あれ?またどこかに行くのかな?」と思いつつ、すれ違い様に軽く会釈をした。
まもなくしてアパートが見えてきたところで、また101号室の男性とすれ違い、
「あの人も周りを散歩してるのかな?」と思いながらまたすれ違い様に会釈をした。
引っ越しした時の自分の荷物はどこに行ったんですかね…
毎回けっこう怖いですね。
ぜいいん同じかおはこわいですね😱
やばい