奇々怪々 お知らせ

不思議体験

猫舞さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

絵本
短編 2025/04/14 13:16 458view

実家での不思議な出来事をふと思い出した。

私が小学4年生か5年生の頃、引越しをすることになった。引越し先は歩いて行ける隣町。
業者は使わずに家族だけで作業を行なった。

小さなものはすでに運び終えて、あとは大きな家具類を運ぶだけ。叔父に頼んで軽トラを借りてもらい、どんどん運び出していく。

キッチンの食器棚を動かしたとき、その裏から一冊の絵本が出てきた。

パステルブルーとパステルピンクがやさしく混ざる正方形の表紙。
いかにも子供向けなキリンの絵。
題名は思い出せないが、ひらがなで書かれていた気がする。

ただその絵本、私の物ではない。

叔父や親も知らないという。
一人っ子だから兄弟のものでもない。

結局誰のものかわからないし捨ててしまった。
あれは誰のものだったのだろう。

「…あんた、この部屋に、ずっといたよね?」
母がよく聞いてきた。

あの家では、子どものような人影をよく見かける。
大人たちがそう話していたのを——思い出した。

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