私が25歳頃に体験した話。
一人暮らしをしていた私は、休日でも特にやることはなくダラダラしていることが多かった。
5月12日。その日は仕事が休みだったので何故か「散歩でもするか」と思いたった。何故、その日に急に散歩しようと思ったかは今思うと不思議でならない。
電車に乗り、人通りが多い場所に着いた。
特に目的はなく、ただ歩いてぶらぶらしていた。
交差点が赤になり、待っていると、ふと反対側で信号待ちしている人混みの中に1人の女性が目に入り、そして目が合った。
2秒程で視線を逸らし、私は信号を見ていた。
青になり、歩き始めた。
「そらそろ帰るか…」と思いながら歩いていると、先程目の合った女性が近くを通り過ぎたのがなんとなくわかった。
横断歩道を渡り終え、少し歩いたとこで何故か後方が気になり何気なく振り返った。
すると、目の前に先程すれ違ったはずの女性が1メートル程離れた場所からこちらを見ている。
反対側へ行く為に信号待ちしている人混みの中、1人だけ進行方向ではない方を向いて立っていてあまりに不自然。周りの人は気にならないのか?と思うほど。
一瞬で、「気色悪い。」と思ってしまい、すぐにその場から立ち去った。
帰宅しても、先程のことが忘れられずにいて、
「気味悪かったな…あの辺に行かなきゃよかった。」と後悔した。
次の週末。
深夜、自宅で寝ていると、
ピンポーン
とチャイムが1度だけ鳴った。
何か音がした?と寝ぼけながら、うっすらと目を開けようとすると突然金縛りにあった。
一気に眠気がとび、天井を見つめていた。
隣の部屋のリビングの入り口付近に何かいる!と気配で感じ、すぐに目を瞑った。
リビングの入り口にいた何かが移動して、ベッドの横に来ているような感じがした。怖くて目を開けれないので確認はしていない。
すると、冷たいものが瞼に触れ、ゆっくりと瞼を開け始めた。
目の前には横から伸びている手があり、瞼を開かせていた。
その後は瞬きはできるが、目を瞑ることはできなくなった。
冷たい手は、瞼なら両頬にいき、顔を左側へ向かせてきた。私の意思とは関係なく、私の目線の先にはあの女性が笑ってこちらを見ていた。
あまりの恐怖で気を失い、目が覚めた頃には10時近くになっていた。
すぐに友人に連絡し、お祓いしてもらった方がいいということになり、その日のうちにお祓いをすることにした。
無事にお祓いを終え、安心した私はそのまま友人と食事に行くことに。
お店のある場所へ向かう途中、あの女性を見た交差点で信号待ちをしていた。
「この交差点で見てから、あんなことあったから…」と友人に伝え、目線は自分の足元に向けて信号が変わるのを待っていた。
すると、頬に冷たい感触があり、顔が無意識のうちに上げられた。そして、目線の先にはあの女性がこちらを見ていた。
あまりの急な出来事に驚いていると、
「おい!どうした?」
「あ、あいつだ。ほら、あっち側にいるワンピース着てる…」
「あっち側にワンピース着てる人いるか?」と言いながら友人は反対側を見つめていた。
ずっと目線は外せない。
信号が青になり、周りは歩き始めた。
友人は、
「大丈夫だ!行こう!」と肩を叩き、その勢いで私は歩き始めた。
気がつくと女性から目線を外せていた。
「よかった〜」と安心した私は目を瞑り、一息ついて落ち着こうとしていた。
こわ