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不思議体験

とくのしんさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

元お笑い芸人の恐怖ロケ体験談
長編 2024/10/01 16:54 2,473view
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「これまで生きてきて、あんな怖い思いしたのは初めてでしたわ」
流暢な関西弁で自身の恐怖体験を語るのは藤原さん(仮名)
元お笑い芸人という肩書を持つ藤原さんは、現在生まれ故郷でお好み焼き屋をやっている。

「お笑い芸人として関西じゃそこそこ頑張ってたんやけどね。まぁ限界を感じたっていうのもあるし、ちょっとした不祥事起こしちゃいましてね。それが引き金になって芸人辞めたわけですわ」
芸人を辞めたあと、実家の稼業であるお好み焼き屋を継ぐことに。元芸人の知名度と、彼自身のキャラクターもあって繁盛しているそうだ。
「ありがたいことにぎょうさんお客さん来てくれはるんで!食うには困りません!」
そう明るく話す藤原さんの恐怖体験を紹介する。

ちょくちょく関西のテレビ局に出るようになってね。ほんで深夜枠のバラエティー番組の準レギュラーになった頃の話。
突撃取材がモットーのコーナーの準レギュラーやった俺と相方の原田(仮名)は、ディレクターから某県の人気キャンプ場のロケを提案された。そこは周りを自然に囲まれた場所で、隣接する湖では釣りや水上バイクも楽しめるアクティビティーが満載でな。特に湖に掛かった橋からのバンジーが人気やった。

ほんで俺らがそこに行くことになった、1泊2日のロケ日程で。キャンプすることになったんはええんやけど、俺も相方もテントなんか張ったことあらへん。そこでインストラクターに一から教えてもらったりと、なんだかんだ大変やったけどなかなかおもろくてな。

途中からタレントの女の子も合流して湖で色々とやったあと、それじゃバンジーやりましょうということになった。罰ゲーム方式でビーチフラッグで旗取れんかったヤツが飛ぶことになったんやけど、ここでドッキリ仕掛けられてて。俺のスタート地点すぐのところに落とし穴があったんよ。走り出してすぐにドーン!落っこちて。それであえなく俺は最下位や(笑)
人生初のバンジーはそらもう怖かったけど、番組的にも美味しかったんでそれはそれでよかった。そのあとはバーベキューやったりとロケは楽しく進んだ。

で、22時くらいかな。ディレクターが「ここからが本番です」と俺らを呼びに来たのよ。話聞いたら実はキャンプロケは嘘で、湖に出るという幽霊の目撃情報の検証がロケの目的だって言うのよ。いやいや、そんなん無理やて!と俺も相方も心霊ダメやから必死に抵抗したんやけど、ディレクターが「企画差し替えになるけどええね?」みたいなこと言うて脅してくるのよ。それじゃもうやるしかないやんてことになってね。

湖では結構な目撃情報があったらしく、例えば
・林の中に数人の白い影を見た。
・湖の中からこちらを伺う男の霊がいた。
・夜中、ボート乗り場に行くと女性の霊が出る。
・バンジーのある橋から飛び降りる人影を見た。
・橋の先にあるトンネルに幽霊がいた。
などなど。

その検証をしましょうゆうことになって、タレントの子も聞いてなかったらしいけど一緒に行くことになった。それでグルーっと半周して、とりあえずボート乗り場まで行ったんやけど、全然何も映らないし何も聞こえないのよ。少し粘ってみたんだけどなーんも成果なくてね。
でもディレクターが「これじゃ面白くないからもう少し粘りましょう」とか言うて。朝からのロケで疲れとんねん!と俺もさすがに頭来て。ほんでボート乗り場の停留場でウロウロしていたら、湖の中に何か見えた。何やろう思うて覗いたら、真っ白な顔の小学生くらいの男の子が笑って俺を見ているのよ。

そしたら足をガッと掴まれて、凄い力で引きずり込まれてな。「あ!」と思うた瞬間に湖にどぼーんよ!やばい思うたら、意外と浅瀬で事なきを得たんやけど。俺が湖に落ちたもんやから、撮影スタッフみんな飛んできて。どないしました!?と騒ぎになったんで説明したら、やっぱり出るんちゃいますか?ここまで来たら絶対撮りましょう!と逆に盛り上がってな。人の心配よそにそっちかい!って。

でも俺びしょ濡れやん。ADと一緒にロケバスに戻って着替えることにして。ロケバスで着替えて戻ろう思ったら、ADがこのまま車で戻りましょうと言う。歩くのしんどいから助かるわ、思うていたんやけど、車がさっきの地点を通り過ぎるのよ。それであれ?思うて、ADに「通り過ぎたけど?」と聞いたら、ディレクターから連絡があって撮影場所変えることになったと言う。それで俺も納得していたら、昼間飛んだバンジーのある橋に着いた。

ロケバス降りたところに、ディレクターが1人いた。ほか誰もおらんねん。なんか変やなぁ思うてディレクターに質問したら、みんな先に行きましたわ答えるんよ。先ってどこよって聞いたら、とりあえずついてきてくださいと。それで3人で歩き始めたんやけど、ディレクターとADがブツブツと何か小声で喋ってるのよ。でも顔を見合わせる様子もなく、2人が別々に何か喋ってる感じ。俺は2人の後ろにいたんやけど、何を言ってるか全くわからなくて。ほんでバンジー近くまで来たら「藤原さん、ちょっといいですか?」とディレクターが俺に話かけてきた。何かと思うたら、もっかいバンジー飛びましょうよと言ってきてな。いやいや、こんな時間に飛べるわけないやん!それに係の人おらんし!と答えると、「冗談ですよ冗談」とディレクターが無表情で答えた。
ほんま冗談キッツいでとか言いながら、2人がバンジーのところに移動するんでついていった。それで橋の欄干から下を何気なく見ていたら、ここから飛び降りる人多いみたいで、幽霊の目撃情報が結構あるんですよとADが俺に教えてきた。
昼間は山に囲まれた湖が一望できてほんま景色良かったんやけど、夜は真っ暗で何も見えんし、橋もポツンポツンと街灯があるだけで薄暗いしかなり気味が悪かった。

それで俺が先に行こう言うたら、ディレクターがまた言うんよ。
「藤原さん、バンジー飛びましょうよ」
と。いやいやさっき自分冗談言うてたやん!て言いかけたら、ディレクターの目が笑ってないのよ。ADも無表情で俺をじっと見てて。何これどっきり?と思うも何か様子がおかしい。2人が別人みたいな感じがしてきてな。あかん、これやばいヤツちゃうか?そう思ったら足がすくみ始めてね。ADがバンジーのジャンプ台の施錠をどうやったか開けて「こっち来てください」と俺を引っ張るのよ、2人掛かりで。
足に力入らんから、ジャンプ台まで引きずられてしもうて「これ、ドッキリやろ?」と震える声で訊いたら、2人は何も答えない。ディレクターが「じゃ、飛びましょう」と言い出したんやけど、俺はロープもつけてない。

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コメント(2)
  • kowai

    2024/10/07/15:00
  • 恐らく数年経ったであろうこの時になんで自殺したのか因果関係があるかは怪しい所。

    2024/10/10/02:43

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