これは『えぽさん』という女性の方から、もう20年も前に聞いたお話です。
えぽさん、女友達数人と、とある温泉旅行に出かけたそうです。
その宿泊先となった温泉旅館というのがちょっと複雑な造りで、
地下に大浴場があって、彼女たちのお部屋は4階。
エレベーターが二つあって、1階から4階までのものと、
地下から3階までのものに分かれていたそうです。
つまり、4階から地下の大浴場に行くためには、
遠く離れた2つのエレベーターを乗り継がなくては行けないわけです。
まず3階に下りて長い廊下を渡り、
それから地下に繋がっているエレベーターに乗り換えるのです。
夕食後、温泉でさっぱりと汗を流した彼女たちは、
部屋に帰ろうと、エレベーターの方へと進みました。
そこには大人用の浴衣を、裾を引きずりながら着た
小学生くらいの男の子が一人で遊んでいました。
乗るのかな?と、ちょっと「開」のボタンを押して待っていたのですが
一向にエレベーターには乗ってくる様子がなかったので
彼女たちは他愛もない話をしながら地下から3階に上がりました。
エレベーターが3階に着きます。ドアが開きました。
降りぎわに一人の子どもが乗ってきました。
大人用の浴衣を引きずった小学生くらいの男の子でした・・・。
あれっ?と、えぽさんも、お友達らも思ったそうです。
なんだかさっき地下で見た子と似ている・・・。
だけど、そんなはずはありません。
エレベーターよりも速く階段を上れる人間なんて、
ましてやズルズル裾を引きずった子供がそんな速さでのぼれるわけがない。
エレベーターはその子を乗せて下に降りていきました。
「さっきの子と似ていたねー」
「座敷わらしだったりしてー」
何気に怖い。
座敷童子だったら旅館は潰れないと思うので。
↑確かに。