怖そうで怖くない少し怖い病院
投稿者:kana (214)
実は怪談を書くのをお休みしていた間に、少し入院をしていまして、その時の怖そうで怖くない少し怖いお話を書いていこうと思います。
ある日、会社で実施した健康診断の時の事。内科の検診で先生に触診をしてもらいました。
経験ある人はわかると思うのですが、けっこう思いっきり押してくるんですよね。
その先生は女性だというのにまるで北斗神拳伝承者のように指をボクの体に深くめり込ませてきました。「あたたた」思わず声も漏れてしまいます。さすがに「ひでぶ」とは言いませんでしたが。
それで異常ナシをもらい帰ったのですが、その日からその北斗究極奥義をくらったあたりがだんだん傷みだして、気のせいと思いつつ、1週間たっても痛みが治まらなかったため、急遽病院へ行くことにしました。
結果、「あなた、緊急入院です」 「えぇ~~」
「今ならまだ手術しないで治せると思いますが、放っておくと内臓が爆裂して死にます」
・・・そこまでは言われませんでしたが似たようなことを言われしぶしぶ入院となりました。
そこから毎日24時間の点滴と抗生剤投与、絶食が続きました。
入院して2日ほどたって、病室を替えることになりました。
大移動です。2階の病室から3階へベッドごと引っ越しです。
引っ越してヤレヤレと思っていると、なんとその部屋でコロナに感染した患者さんが出て、その方は急遽隔離。ボクらの病室も3日間の隔離となり、病室の外には出ないでくださいというお達しが出ました。部屋には簡易トイレ(おまる)も設置される始末。
「いや、ボクは今引っ越してきたばっかりでコロナ関係ないんですぅ!タスケテ!!」
・・・まるで豊臣秀次のあおりを食らって処刑された最上家の駒姫の気分です。
3日経ってようやく隔離が解除されたときには、ボクの両腕は針穴だらけで、もうどこから採血すればよいのかわからないくらいになっていましたが、ようやく外のちゃんとしたトイレを使えるようになったのがうれしかったですね。
深夜の3時ころ。ボクは突然トイレに行きたくなり、フイに目が覚めました。
シーンとして真っ暗な室内。
点滴スタンドをカラカラと引っ張りながら廊下に出ます。
廊下の奥の方には看護師さん達の詰め所があり、明かりが漏れています。
音はしませんが、24時間体制なので誰かはいるはず。
おかげで深夜の病院の廊下もそんなに怖くはありません。
車いすでも入れる大きなトイレに一人入り、用を足していると・・・
「ゴホっ、ゴホっ、ハァァァ、ハァァァ・・・」と苦しそうな吐息が扉の外に聞こえます。
あぁ、しまった、他の患者さんを待たせちゃってる・・・早く出なきゃ・・・
そう思って扉の取っ手に手をかけましたが、深夜3時でそんなトイレに並ぶことってあるかな??と少し疑問に・・・。でも現に自分もこうしてトイレに起きたわけだし、別に不思議なことじゃないか・・・。そう思い直して扉を開けました。
だ~~~~れもいない。
そこには誰もいなかったのです。廊下の端から端までまっすぐ見えるのですが、
そこにはシーンと静まり返る空間があるばかり。
ボクはきょとんとしながらも、
「いやコレは怪談ネタとして使えるかなぁ~」と、そう喜んで病室に戻りました。
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