20年前の記憶 ー 最終回・とある温泉にて ー
投稿者:kana (210)
短編
2023/01/19
22:21
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腑に落ちない気持ちを抱えながらも、笑いながら廊下を渡り、
4階に停まっているエレベーターを呼びました。
チーン。
音とともに扉が開きます。
そして、そこに乗っていたのは・・・大人用の浴衣を引きずった小学生くらいの男の子でした。思わず息をのんで立ち止まってしまった。そしてそんな彼女たちに、その子は奇妙なくらい冷静な声でいいました。
「乗らないんですか?」
声を失った彼女たちを残して、エレベーターは下へと降りていきました。
「どこかに秘密の近道があるの?」
「それとも双子?三つ子?」
次の日のチェックアウトの時、思わず真剣な声で
「昨日、ここには双子か三つ子の男の子は泊まっていませんでしたか?」
と聞いた彼女たちに、フロントの人は奇妙なくらい冷静な声で
「いいえ」と、答えました。
しばし流れた沈黙が、何を物語っていたのか・・・。
今はもうその旅館は無くなっているそうです。
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何気に怖い。
座敷童子だったら旅館は潰れないと思うので。
↑確かに。