久しぶりに夜の磯釣りにやってきた。
この先にイイ穴場がある。堤防の先だ。
テトラポットのある辺りは、海の底が藻場になっていて、魚が入れ食い状態である。
もっとも、「危険だ」・・・とかいう理由で立ち入り禁止になっているのだが。
立ち入り禁止と言うことは、他にライバルもいなくてさらに良く釣れるってことだ。
なぁに「バレなきゃ犯罪じゃない」と誰かが言っていたじゃないか。
俺は立ち入り禁止の看板を無視して堤防の先に入っていく。
あたりはすっかり日が暮れて、満月も出ていい雰囲気だ。
だが、そこでおかしなものを見つけた。
人だ。人がテトラポットの上に立っている。
凝視してよくよく見てみると、それは月明かりに照らし出された女の姿だった。
しかもその女、全裸である。
なんだろう・・・裸で泳いでいたとでもいうのだろうか。
俺はおもしろくなって、その女に声をかけてみた。
「なぁアンタ、そんなところで何やってんだい?危ないからこっち来なよ」
こっちを見る女に懐中電灯を向ける。
光の中に浮かび上がったのはなんとも美しい若い女である。
水に濡れた裸体が光っている。
女はだまってこちらに向かってくる。・・・が、なにかおかしい。
髪や体、足元に海藻が絡まり、それがズルズルと海の中まで続いている。
まるで海底の藻場から海藻をまとって上がってきたかのようだ。
果たしてこの女は本当に人間なのだろうか・・・一瞬そんな疑問が脳裏をよぎる。
明らかに奇異だ。・・・奇異だが、なんと美しい女だろうか。
俺は堤防まで上がってきた女を抱き寄せると、魚をさばくために持ってきた包丁を使って
彼女にまとわりつく海藻を切り払った。
「うおっ、滑る!」
海藻から出たぬるぬるした粘液の様な汁が、彼女の体にべったりと絡みつき、彼女の裸体はぬるぬると滑った。
「やべぇな・・・今夜は釣りは中止だ」
俺は彼女を家にお持ち帰りすることにした。もしかしたらこの女は人間じゃないのかもしれない。だがそんなことはどうでもよい。こんな奇跡、そうそうあることじゃない。
俺は無抵抗な彼女を人目に付かないようにクルマのトランクに押し込み、急いで帰宅した。
どうせ田舎の一人ぐらし。誰に見つかるということもないのだが。
kanaです。
・・・投稿したの、ちょっと後悔してます・・・。
kanaです。
3/24華北新社より「ワカメ養殖大打撃「これを機に漁業をやめるかも」」
こうやって怪談でネタにしたりすると、そのキーワードがニュースになって出てきやすいんですよねぇ。ほんまに。