ある晩、とても怖い体験をしたので聞いて欲しい。
その日は、何てことのない普通の日で、仕事から帰って、晩ごはんを食べてお風呂に入って、22時頃にはベッドに入って寝ていた。
夢だったのか、それとも本当に幽霊の類だったのか、寝ぼけていたので時間は分からなかったが、とにかく深夜にぼんやりと目が覚めた。
…起こされたと言ってもいい。
自分が寝ているベッドの周りを数人の何者かが取り囲んで、ヒソヒソと小声で何か話しているのだ。
わたしは、仰向けになって寝ており、ぼんやり目を覚ました時にうっすら目を開けたが、部屋の電気は付いておらず、一瞬目を開けたことは気づかれずに済んだ。
恐怖で身が固まり、頭の中がパニックになった。
その何者か達は、コソコソと部屋の中を調べているようで、気配から読み取った感じだと、恐らく四人ほどの男女だった。
起きていることに気づかれたら何をされるか分からないと思い、寝たふりを続けることしかできなかった。
そいつらは、最初こそコソコソしていたが、段々と話し声が大きくなり、ドスドスとうるさく部屋を歩くようになっていった。
まるで、わたしに気づかれてもいい、目を覚ましてやる、っていうかもう、気づいているんでしょ?とでも言うように。
パチっと部屋の電気を点けられた。
しかし、わたしは意地でも目を開けるわけにはいかない。
超眠りの深い人を演じ切ることを決心し、「ん~」とか気持ちよさそうな寝息を吐きながら寝返りをうち、顔を枕で隠した。
そいつらの会話内容が耳に入ってくる。
「この辺全部見て回るから」
どうやら、わたしの住むアパート周辺にある家々を同じように調べているらしかった。
目的は不明。
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