秘密基地の笑い声
投稿者:with (43)
Bはいつもの調子で笑いながら誤魔化すが、どうにもそれが嘘だというのは俺達三人も何となく感じ取っていたが、追及することもせず頷いた。
誰にでもビビってる瞬間を見られるのは恥ずかしいものだと、そう納得した。
「大げさやな。そういや宿題やったか?明日提出やろ確か」
「俺、やってないわ」
Aが話題を切り替え、俺達は全員宿題をやってないことを思い出し、鞄の中からプリントを探し出すことになった。
放課後着の身着の儘小屋へやってくる俺達は、学校鞄を持ち合わせており、プリントを発掘して全員の知恵を合わせて宿題を終わらすことになった。
小屋の中はキャンプ道具で使うような電池式のLDEランタンを使って明かりをとっているので、俺達は外がすっかり暗くなっていることに気がつかなかった。
スマホ画面で時間を確かめると夜の7時を回っており、慌てて帰り支度を始める。
勿論、いつ誰が来てもおかしくないので持ち寄ったお菓子やゲームも回収して鞄に詰め込める。
最後にいつものようにランタンを収めようとしたが頼りの明かりがスマホしかなかったので懐中電灯の代わりに使用することにした。
「暗くなるとやべーな、マジで遭難したみたいやわ」
「こえー」
なんて無駄にテンションを上げて山道を下っていく。
ただ、Bだけはどことなく後ろを警戒しているようで、終始会話には曖昧なかんじで入り込むだけだったのを覚えている。
無事に麓にたどり着くと近くのバス停付近に止めてある自転車に跨り、それぞれ帰宅して解散となった。
俺は帰りが遅くなったことに少し怒られたが、晩飯を食べて自室でゲームに興じていた。
夜10時くらいを過ぎた頃だったと思う。
Bからラインが届き、俺はゲームを中断してスマホを覗き込むと、
『さっき山から帰るときさ、誰ともすれ違ってないよな?』
とよくわからない内容だった。
適当に「うん」と返事すると既読はつくもののそれ以降返事はなかった。
俺はそろそろ寝ようと思い歯磨きしようと立ち上がるが、明日の宿題のプリントの事を思い出して鞄の中をまさぐった。
「え? うそ、マジで?」
嫌な予感がしたがやはり的中したようで、俺は小屋にプリントを忘れてきてしまった。
ドラマみたいに頭を抱えて悔しがる俺は先生に怒られる光景を想像する。
普段から忘れ物が多く赤点ギリギリのだらしない俺だから、きっと物凄く怒られるに違いないと悲観した結果、俺は今からプリントを取りにいくことにした。
幸い、自転車で10分もかからない距離だし、俺は両親に友達の家に忘れ物を取りに行くと嘘をついて速攻で家を飛び出した。
時間にしてわずか6分くらいの新記録を出して、山の麓の近くに到着した。
あとは小屋まで気合でダッシュで駆け上がった。
「マジこえー…」
こえーよ・・・
怖かった
なんでBと共有しないんだよ.. 余計怖いじゃん…