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不思議体験

死堂鄭和(シドウテイワさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

路地裏の喫茶店
短編 2026/01/20 00:16 51view

大学生の高田君の体験した話。
彼には行きつけの喫茶店がある。
家から歩いて数分の路地を入ったところにある『EMILY』という小さな喫茶店だ。
初老のマスターが1人でやっており、暗めの照明にレトロな店内、口数の少ないマスターが淹れてくれるブレンドは、他では味わえない心地よさを与えてくれる。

講義がない日は決まってこの喫茶店でブレンドを飲みながら本を読んだり課題の勉強をしに来ていた。
自分以外のお客もまばらで、静かな雰囲気が好きなのだ。
その日も俺はブレンドを飲みながら、読みかけの小説に目を通していた。
ところが、この日はいつもと違うことが起きた。

『高田さん、すいませんがミルクを切らしたので買ってきたいのですが…15分〜20分ほどで戻るのでお店にいてくれませんか?もしお客様が来ましたら、すぐ戻る旨をお伝えしてほしいのです』
とマスターに声をかけられたのだ。

いつもブレンド一杯で長居させてもらってるので
『はい、わかりました。』
と二つ返事で留守番を引き受けた。
『どうもすいません、では行ってきます』

マスターが入口のドアを開けて出ていった。
カランカラン…とドアについている鈴が小さな音をたてたが、店内はすぐ静かになった。

マスターが出てから5分くらい経ったころ、カランカラン…と鈴の音が聞こえた。
ん?お客さんが来たのかな?と思い
『あ、マスターは今買い出し行って…』
と言いながらドアの方に目を移すが…そこには誰もいなかった。

それどころか、ドアが開いた様子もなかったのだ。
あれ?気のせいかな?と思い、読みかけの小説に目を移す。

小説を読み始めて1〜2分経った頃だった。
視界の端で何かが動いているような気がした。
何気なくそちらに視線を向けると…俺は心臓が飛び出るかと思うくらい驚いた。
入口から一番遠いテーブル席に女の人が座っていたのだ。

え?あんな人いたっけ?いや、客は俺1人だったはずだ!
今日は俺が来た時に入れ違いで客が出ていき、店内に他の客がいないことを覚えている!
いつの間にかいた女を視界の端に捉えながら観察する。
まず違和感を感じたのは服装だ。
今は8月、半袖でも陽射しが暑いのに、黒の帽子に赤いコートを着ている。
僅かに見える口元も真っ赤な口紅が塗られていて印象的だった。

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関連タグ: #事故物件#声
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