「天井裏」
もう1年以上前のこと。
老後の生活を考え、格安で平屋の中古住宅を購入した。リフォームはされていたが、ところどころ手を加える必要が迫られた。電気代の節約、省エネ対策等を考慮し、家の照明器具の全てをLEDに替えることに決めた。
依頼して1週間後、20代後半の若者と50代半ばのベテラン作業員のふたりがやって来て、早速工事に取り掛かった。
工事が半ばに差し掛かった頃、
「うわぁぁぁぁ。」
と50代中ばの作業員が大声を上げた。
天井が大きく歪み、ぐらりと撓(たわ)んだというのである。
築60年以上になる。どこか傷んでいるのかもしれない。
私は、六畳間の北側にある半ドンから天井裏に行けるようだから、上って原因を確認してほしいとお願いした。
これ以上、出費がかさむのは痛い。
ふたりは、真っ青になり、揃って首を横に振ると、
「その必要はないです。大丈夫。取り付けられます。大急ぎで終わらせますから。」と言い張った。
それまで、和やかに作業をしていたのに、それ以降は、ふたりは、ひと言も発せず作業を続け、工事は当初の予定より30分以上も早く終了した。
必要書類への記入が終わり、サインを確認すると、ふたりは、挨拶もそこそこに、逃げるように帰っていった。
後日、地元の事情に詳しい町内会長から、この地域には、家にまつわる古くからの言い伝えが在ることを教えてもらった。
過日、こういうことがあったと話した時、「そりゃまずいわ。奥さん、天井裏にはあがってはいけない。それ、『お前ら死ね。』と言ったようなもんだからね。」
そういえば、この家。深夜、ヒューと天井から微かな音が聞こえる。風が通り過ぎるような音。
気にしない気にしない。「君子あやうきに近寄らず」それが一番。



























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