人違いで殺されかけた話
投稿者:with (43)
ある日、俺は突然命を狙われたことがある。
俺は何の取り柄もない平凡以下の大学生だったが、親元を離れて一人暮らしを始めて早二年、ヤバい奴に初めて付け狙われた。
始まりは俺が友達と街を歩いている時だった。
ただ、友達と話していると、突然見知らぬ初老の男に声を掛けられたんだ。
「おい、おまえ!」
別に肩がぶつかったとか、ガンを飛ばしたとか、俺から何かを仕掛けた訳でも無い。
ただ友達と喋りながら歩道を歩いていただけで、突然怒鳴るように肩を掴まれたのだ。
指先なんかは力が込められていたからか俺の鎖骨を抉るようにめり込んで結構痛かった。
それで、俺は「痛い痛い」と体をよじりながら男の腕を払いのけて、見知らぬ男と対峙した。
だけど、どう見てもその男は見覚えが無くてマジで誰だコイツ状態だった。
その隣で友達は「え?何、知り合い?」と困惑した表情で俺と男の顔を交互に見ていたが、男は有無を言わさずに肩掛けのバッグを手に持って、俺に向かってくる。
「てめええこの野郎おおおお!ぶっ殺してやる!」
ぶっちゃけ俺はここでこの男に殺されると思った。
幸い男の武器が何てことの無いバッグだからただ物理的に痛いだけというのは救いだった。
俺は意味も分からず受け身になって「ちょ、なんすか!やめろ!」と蹲るように腕で頭を守っていると、さすがに見兼ねた友達が男の腕を掴んで「やめろって!」と抑え込んでくれた。
後にして思えば、この時この男が凶器を持っていなくてよかったと後で友達と語らった。
最悪、俺はまだしも友達が俺を庇った為に刺されでもしたら申し訳が立たないと思った。
運が良かったのが、近くにいた恰幅のいいお兄さんが仲裁に入ってくれたので、男を無傷で抑え込む事が出来た。
そして俺がそのお兄さんや友達に「俺、この人と面識ないです」とかパニくって弁明していると、誰かが呼んでくれたのか二人組のお巡りさんがやってきて事情を聞かれた。
お巡りさんにも俺が男と面識が無い事や突然呼び止められて暴行を受けた事を話すと、友達も同じことを話す。
中でもお兄さんが遠巻きながら俺が一方的に暴力を受けていた事を証言してくれたので、かなり助かった。
問題なのがやはりあの初老の男の方だった。
男はお兄さんに解放されてからはもう一人のお巡りさんに暴れないように制止させられているんだが、頻りに「あいつが俺の娘を殺したんだ!仇を取らせろ!」と訴えていて、何だか俺は何もしていないんだけど居心地はかなり悪かった。
友達も「おまえ、あの人の娘さん殺したの?」と冗談交じりに聞いてきたが、俺はオーバーに顔を振って「いやいやいやいや、んなわけねえし」と否定した。
そんな異常な男と困惑する俺を見比べたお巡りさんは「ちょっと話を聞きたいからいいかな?」と暗について来いと俺に言ってきたので、俺は渋々お巡りさんに同行する事になった。
因みに、友達もついてきてくれたので感謝したし、お兄さんとは別れる前に深々と頭を下げてお礼を伝えた。
「ははは、気にしなくていいよ」とお兄さんは立ち去って行ったが、ある意味で男よりもお兄さんの筋肉質な肉体美の方が印象に残っている。
それで、人の往来の邪魔にならない場所で事情聴取的な事をされたが、俺の主張は一貫して男と接点がないという事だけだ。
今日は友達とカラオケにいってその辺の店で昼食を済ます予定だったが、こうして事件に巻き込まれている冴えない大学生だという事を話すと、お巡りさんは「気の毒だったね」と苦笑してた。
それでもお巡りさんも仕事だから熱心に聞き取り調査をしているわけだが、誰がどう見ても男の方が異常である事は明白で、数十分くらいで俺は解放される事になった。
どんな理由にせよ助かって良かったです。
幽霊より怖いわ
文章上手いし読みやすかった
友人の反応からガチな感じする
やっぱり一番怖いのは生きている人間ですね
人違いなのにこんなんに目付けられたら溜まったもんじゃないね…
友達が黒幕ってことか
友達サイコパス。
もう死刑でいいだろ
頭イカれてるやつは終身刑にしてほしいね
そうゆう奴は死刑だろ
加害の可能性がある基地を野放しとは…。どんな事情とかは人違いで襲われた方には知ったこっちゃないし、ホンモノの娘の加害者と同じ檻ん中入れて勝手にやっちゃってくれればいいよと言いたくなるな。