これは、私が6歳ぐらいの頃の話です。
私は、家の近くのショッピングモールの中にあるフードコートへよくご飯を食べに行っていました。
私はそのフードコートで食事をしている間、こっそり人間観察をするのが好きでした。私にはお気に入りの席があって、その席はフードコートの中の見通しがよく、人間観察にはもってこいでした。
ある日、父とそのフードコートに行きました。いつも通り私はご飯を食べながら人間観察をしようと思い、「今日はあの人にしよう」と、大体40代くらいのサラリーマンのようなきちっと七三分けをした男を観察することにしました。
観察をして10分ぐらい経ったあと、その男が急に「なんだよ!」と、フードコートに響くような大きな声で叫びました。私は「なんだろう?」と疑問に思いましたが、男を観察することはやめませんでした。
すると少しして男が今度は「こっち見んなよ!!」とさっきのよりさらに大きな声で叫びました。
私は流石に驚いてしまって、一旦目を逸らすことにしました。
けれどやっぱり好奇心には逆らえず、今度はチラッと男の方を見ました。そしたら男は「チラチラ見てくんな!ウゼェんだよ!」と叫びました。この時にあの男は私に向かって叫んでいたんだ、ということが分かりました。
私はすっかり怖気ついてしまって、さっさとご飯を食べてフードコートから去りました。
帰り道、私は父に「あのおじさん、すごくうるさかったね」と言いました。すると父は、「誰の事?そんな人はいなかったけどなぁ」と首を傾げて言いました。
私は人間ではなく別のモノを観察してしまっていたのかも知れません。
私はあれ以来人間観察はしていません。

























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