雪の中で見かけたヤバい奴
投稿者:with (43)
俺は田舎育ちなんだが、中学生の冬、ヤバい奴と遭遇した。
毎年結構な雪が積もる地方で、その年は例年以上に積もってた。
スライド式の玄関なんだけど、玄関ポーチを超えた先から白い壁に覆われてたから驚いたものだ。
一階の窓は半分くらい埋まってたし、家が半地下に沈んだのかと思うほどだった。
おかげで一日中雪かきを手伝わされて友達と遊ぶ暇なんてなかったし、そもそも友達の家に向かうための道路も雪で埋まってたから「みんな今頃雪かきしてんだろうなあ」と雪国の大変さを身に染みて感じた。
昼を過ぎた頃、ようやく家の周りに最低限人や車が通れるスペースを確保し終えると、友達から電話が来て「かまくら作ろうぜ」と誘われた。
それで俺は近くの公園(?)なのか知らないけど、水路や遊歩道があってちょっとした遊具がポツポツと置かれている広い遊び場で待ち合わせする事にした。
表通りに出ればガードレールが雪の壁になってて笑ったが、どの運転手も慎重に運転してて大変そうだった。
それで約束の公園に来ると、予想以上に一面銀世界。
ゲレンデみたいで圧倒された。
ちらほらと家族連れや子供が遊んでたが、友達の姿はまだ無い。
俺は誰かが踏み固めた遊歩道を歩いて、公園の中を散歩しながら雪景色を堪能する事にした。
敷地の高台のところに、見晴台みたいなのが設置されてるんだけど、とりあえずそこを目指す。
見晴台に到着して公園の中を一望するとまた違った景色が広がった。
長閑な自然の広がりの先に生まれ育った街並みも真っ白に染まっている。
十何年と過ごした街だというのに、この絶景は格別に思えた。
そうやってどの方向も楽しんで眺めていると、街とは反対側に雑木林がり、その中に人影を見つけた。
はじめはただ人が遊んでるんだろうと思ったが、よく見てみると格好がおかしかった。
白い服装が背景と同化してたが、辛うじて木の前を横切るときに人間の輪郭が見えたので人なのは分かる。
でも、大きいフードを被ってるのか頭が大きく見えた。
ちなみに頭髪なのか分からないが、髪色も灰色ぽかった。
何してるのか気になった俺は見晴台から降りてソレが入っていった林へ向かった。
遊歩道が無く、人の手入れのない林の中。
大人になれば人気のない場所に行くのがどれだけ危険かは理解できるものだが、当時の俺は好奇心のほうが勝ってて何も考えずにソレを追いかけてワクワクしてた。
ソレが入り込んだ林の中は誰も通っていないのか積もった雪はそのままで、ソレの引き摺ったような足跡しかない。
俺はソレが踏み固めた雪の上を歩いて後をつけるんだが、段々と公園から離れていくので、背後に公園が見えなくなってようやく恐怖が宿ってきた。
ちょっと引き返そうかなと思った矢先だった。
ガサガサ、ボトボトと音が鳴った。
どこかで木が揺れて枝に積もった雪が落ちてきたようだ。
驚いて木の陰に身を潜め、そーっと顔を覗かせると、たぶん百メートルくらい離れた位置にソレを見つけた。
生きててよかったですね
もし自分が作者の立場だったらと考えるとぞっとする…
その得体のしれない物は、なんだったのでしょう?
なまはげ?