「おい!起きろ!大丈夫か?」
見知らぬ人に起こされ目を覚ました私は状況が理解できずにいた。
起こしてくれた人に話を聞くと、その方もキャンプに来ていて、朝の散歩をしていると私が倒れていたという。
「こんなとこで何してたの?怪我は?」
「だ、大丈夫です…すいません…」
混乱している私を見て、
「大丈夫?とりあえず、そこ危ないからもっとこっちに来な」
後ろを振り向くと、数メートル先は崖になっていた。
地面を這いながら、その場から離れ、その方と一緒に自分達のテントに向かうことに。
周りを見渡すと、全く見たことのない野原。
トイレもない。テントもない。キャンプ施設もない。
しばらくすると、自分達のテントが目に入り、
「あれです!」
そう指さすと、自ずと歩くスピードが速くなった。
テントに着くと、
「お前!どこ行ってたんだよ!」
「すげー心配したぞ!電話も出ないし!」
私は簡単に出来事を話をし、
「この人に助けられたんだ。」
「この人?」
「誰もいないじゃん。まだボケてんのか!」
後ろを振り返ると一緒歩いてきた人がいなくなっていた。
その後、分かったことだが、私達がキャンプをしていた場所は本来キャンプ禁止区域だった。
正式な場所には多くの利用客がいたそうだ。
そして、もう一つ。
私がトイレを探しに行っていた最中、テント内には3人いたそうだ。
私がトイレに行ったことを他の2人は知らなかった。そこにいたもう1人が誰なのかは未だにわからない。
霧がかかっており、場所を間違えた私達のミスが引き起こした恐怖体験。
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