卒アル奇談
投稿者:Mine (24)
その時突然、
ドォン!
と何か重たい物が地面に叩きつけられるような衝撃音が響いて本気で心臓が止まりかけた。
顔を上げるとすぐ目の前にセーラー服を着た女子中学生らしき人が倒れていた。
首や手脚があり得ない方向にめちゃくちゃに折れ曲がっていて、頭からはピンク色の物がはみ出て血がじわじわと地面に流れ出ている。顔は乱れた髪に覆われていて判別できないがとにかく一目で絶命していると分かるような有様で。
俺達はすぐさま反射的に立ち上がるやいなや踵を返し、悲鳴を上げるのも忘れて一目散に駆けだした。
倒木に躓きながら舗装された道路までたどり着くと足を止め、肩で息を切らせながら〈どうする?どうする?〉とお互い引き攣った顔を見合わせる。
とりあえず大人に知らせるべきだろうが携帯なんか持って無いし。そこへ丁度通りがかったおじさんに「向こうで人が倒れている」としどろもどろになりながら説明して3人で再びあの場所へと戻った。
冷静に考えればあの周囲には子供でも簡単に上れるような低めの木しかなく、人が落ちてくるような高い場所はないんだけどパニック状態の頭ではそんなこと気づくわけもないだろ?
そして現場に着くとあの倒れていた女子中学生の姿は消えていた。
地面に流れた血の跡すらも無くなっている。
念のため周辺も確認したけどやっぱりなんの痕跡も無い。
卒アルだけがあのイラストが描かれたページが開かれた状態のままで残っていた。
おじさんはたちの悪い悪戯だと思ったらしく「だめだよこんなことしちゃ」と俺たち二人を注意して去って行った。
それから俺たち二人も帰ることにした。
帰り道、言葉を交わすことは殆ど無かった。
しばらくはあの光景がフラッシュバックのように頭に甦って来てだいぶ悩まされたな。
今回の出来事は親には何も伝えてない。
その後もその友人と何度か遊ぶことはあったけど、あの日のことは一切触れようとしなかった。
きっと俺と同じであの日の出来事を必死で無かったことにしようとしてたんだと思う。
言うまでも無くあのゴミ林には金輪際、近寄らなくなった。
話はこれで終わり。後日談とかは何も無い。
ちなみにあの雑木林一帯は現在ではすっかり造成されてアパートとか建売住宅が建ち並んでいる。
実は女の子は生きてて、自力で何処かに行ってしまったんだな