再利用された廃校
投稿者:キミ・ナンヤネン (88)
それじゃ、校庭にいるあの人たちは何だ?全員で遊んでるようにも見えるが、やけに静かだ。
その光景に違和感を覚え、すぐに確認しに行きたかったが、帰りにまたここを通るだろうから、その時に確認する事にした。
その後は無事にKさんの実家へたどり着き、仕事と峠の事故で到着が遅れたと説明し、深夜に訪れた事を詫びた。
喪主であるKさんの奥さんによると、あの峠はいつも事故や災害で通りにくいから仕方がないとの事だった。
その峠では毎年のように土砂災害があって、ずっと工事が終わらないらしい。
Kさんに最後の別れを告げ、家を出た時には深夜の2時を過ぎていた。
しかし、帰りは来た時と同じ道を通って、あの校舎を確認しに行かないといけない。
しばらく走ってまた峠に入った所で、あの校舎が見えてきた。
車を正門(であろう場所)に車を停めたが、校舎には明かりが灯っていなかった。
門には鎖や鍵など無かったから歩いて校庭に入ることができたが、さっきとは違い人影が全く無かった。
スマホの灯を頼りに校舎へ近づいたが、暗い校舎の中には誰もいない。
玄関に行くとドアは厳重にチェーンで施錠されていて、そもそも中には入れない。
さっきの人たちが出ていった後に施錠したのか?とも思ったが、もう少し散策することにした。
校庭を途中まで歩いていくと、半分から奥の方に何やら子供の背丈ほどの四角い物が並んでいるのが見えてた。
さらに近づいて灯をかざすと、それは墓石だった。
墓石は10基ほどあり、きれいな花やお供え物があった事から、地元住民の墓地として整備されている事がわかった。
その一角には墓石とは別に石碑が祀ってあり、そこに刻まれている文章を読んでみた。
要約すると、30年ほど前にこの近くの集落の16人が死亡、3人が行方不明になったという土砂災害があった。
比較的被害が少なく廃校になった校庭にその慰霊碑を祀り、集落にあった墓地もここに移転させた。
そして、この場所を新しい霊園として校舎と校庭が利用される、という内容だった。
これも何かの縁だからと思い、その慰霊碑の前で手を合わせ、帰ることにした。
車に戻って発車させると、バックミラーには灯の灯った校舎と人影が見えていた。
結構ゾッとした
面白かったです
スマホのライト大活躍ですね。
>スマホのライト大活躍ですね。
そうですね。本文に
>さらに近づいて灯をかざすと、それは墓石だった。
とあるので、それほど明るくないはずですが、灯となりそうなのはスマホのライトぐらいしかなかったから、結果的に大活躍したんだと思いますよ。
作者より