僕には妻と娘がいる。
娘は小学1年だが、生まれつき心臓に持病があり、運動はもちろん、走る事も医者から禁じられている。
妻は運よく小学校の近くの会社で事務の仕事を見つけて働いている。
その会社からは、子供に何かあったらすぐに学校に行きなさいと言われていて、今まではそんな緊急事態は無かったが、僕も妻もとても感謝している。
ただ、娘が小学校に上がってからは、何かと面倒な行事や保護者同士の付き合い、そして娘に対する匿名の誹謗中傷もあって、妻は最近僕に対する小言が多くなってきた。
「家の中はいつもきれいにしておいてって言ってるでしょ」
これぐらいならまだいい。
「保護者同士の大事な付き合いだからあなたは口を挟まないで」
「私が仕事であなたが休みの時ぐらいは、娘をドライブにでも連れてってあげてよ」
こんな感じで、お互いの行動に干渉し、うまくいかない時は妙にイライラしていた。
「でもあなた、車の運転は本当に気を付けてよ。前にも、国道を制限速度で走ってたら後ろからピッタリ付いてこられたでしょ?あれってあおり運転よね?」
「ああ、そんな事もあったね。でも自分だけの時はもっとひどいもんだよ。」
このところ、そんな会話が多くなり、お互いうまくいってない事は明らかだった。
「ああそうそう、今度の火曜日は小学校で避難訓練があるの。娘に何かあっても私はすぐに学校に行けるけど、あなたは念のために休みを取っておいて。」
「ああ、その日は多分休みが取れると思うよ。」
そんな会話でその日は終わった。
避難訓練の当日、僕は1日有休で、娘を学校へ送り届けた後は言わば自由行動だ。
避難訓練は昼の2時からだから、車で普段なかなか行けないような店に行ったり、少し遠くまで食事に行ったりして、それまでには小学校の近くに戻ってくればいい。
帰る途中の信号待ちのタイミングで妻から電話がかかってきた。
「あなた、早く戻ってきて!娘と今救急車で…!」
妻はとても慌てた様子で話していたから、電話を繋いだまますぐ横のコンビニへ車を停めた。
時計を見るとまだ2時になっていない。
「娘が初めての避難訓練で緊張してたみたいで、避難訓練の前に過呼吸みたいになって…念のため救急車を呼んでもらったの!」
「お、落ち着いて。今どこにいる?」
「救急車は…○○町の××通りを○○総合病院に向かってるわ!」
「わかった、○○総合病院だな!今向かうから!」
慌てるときほどゆっくり落ち着いて、というのが自論だから、一度電話を切り、いつもより慎重にコンビニから通りへと出た。
(総合病院ってここから2~3キロ先じゃなかったか?)
いつも通り制限速度いっぱいに、しかし今は慎重に運転しないといけないから、少し遅くてもいいくらいだと思い車を走らせていた。
通りは片道1車線で、追い抜くことはもちろん、追い抜かれる事も難しい。
























あぁ、そういうことか、、
娘◯そうとしちゃったか…
娘はいま、、、