子供を泣き止ませろ
投稿者:とくのしん (65)
悲鳴を上げて里美は意識を取り戻した。周りに目をやるとそこは病院前のバス停。
(夢だったの・・・?)
ベビーカーにはスヤスヤと眠る陽人の姿があった。
「あの・・・乗りますか?」
里美に呼びかける声に視線を向けると、目の前にはバスが停まっていた。運転手が乗車の確認のため、声をかけていたのだ。
「・・・いえ、大丈夫です・・・」
里美は咄嗟に断った。夢のことを思い出し、とてもじゃないがバスに乗る気にならなかった。
(タクシーで帰ろう)
走り去るバスのテールランプを眺めながらしばらくそのまま呆けていると、一台のタクシーがやってきた。里美は手を挙げてタクシーを止めた。
「こんな時間までお見舞いですか?」
走り出してまもなく運転手が声をかけてきた。
「実は主人が事故にあって・・・」
経緯を説明する里美に運転手はそれは大変でしたね、と同情の言葉をかけてきた。
しばらく走っていると見覚えのある場所に差し掛かる。
(ここ夢のなかでバスが横転した場所・・・)
食い入るように眺めていた里美の様子を察してか、運転手が口を開いた。
「ここでもう10年程前になりますか。バス事故があったんですよ」
「え・・・?」
その言葉に里美の心臓が大きく脈を打った。
「悲惨な事故でしてね・・・。あのとき乗っとった人が5人亡くなりはったんかな・・・」
「そんなに・・・」
「本当に些細なことが原因やったんですよ」
そう切り出した運転手の言葉を遮るように里美が質問した。
「もしかして赤ちゃんが泣いたとかで、高齢者の方と揉めたとかそんなことですか?」
その問いに運転手が少し驚いた様子を見せた。
「なんやお客さん知っとったんですか?言葉使いからこのへんの人やないと思ってたんやけど」
「いえ、引っ越してきたのは本当に最近で。その事件のことは知らないんですが・・・」
里美は意を決したように夢のことを話し始めた。
「話半分で聞いてくださいね。実は先程、バスを待っていたんです。そのときにうたた寝をしてしまって。それで変な夢を見たんですけど・・・」
里美は夢で見たことを話し始めた。先程見た夢があまりにも現実味を帯びていたこともあって、里美は事細かに説明した。荒唐無稽な夢の話を運転手は黙って聞いていた。
「すみません・・・信じて欲しいとかそういうわけじゃないんですけど、運転手さんが話してくれたバス事故と夢がどうしても無関係とは思えなくて。おかしいですよね・・・疲れていたのかなぁ。あ、忘れてくださいねこんな話。でも聞いてもらえて少しすっきりしました」
この母親は、亡くなった母子に同情してはいけなかった??((( ;゚Д゚)))
変に同情すると頼られるって言いますからね。
情けは人の為ならず……か?
全ては老害のクソジジイのせいだ!
亡くなった女性は自分の赤ちゃんと一緒じゃないのか
理不尽すぎる