ぼくが小学生の頃、祖父母の家に行ったときに“オバケの紙”を見てしまったお話。
実家は二世帯住宅で二階にぼくらの家族、一階に祖父母が住んでいる。
ある日、雨が降っていて外に行けなかったので、祖父母と遊ぶために一階へ行くことにした。
階段を降りている最中、リビングからテレビの音が聞こえてくるのがいつもの風景。
しかし、この日はテレビどころか二人の声も聞こえてこない。
「いないのかな?」
少し怖さを感じるくらいに静か。
一階からはひとけが感じられない。
誰もいないならと引き返そうとした時、左側の手すりに紙がくっついているのが見えた。
こんなところに紙が張り付いているのもおかしな話だがそれ剥がしてみることに。
A4サイズくらいの紙には、オバケの絵が描かれていた。
アニメや漫画で出てくるような典型的なオバケの絵。
手をうらめしやの形にして、足元がシュッとなっている。
目は黄色一色で吊り上がっていて、こちらを見ていた。
「こわっ!!!」
紙をその場に放り投げ急いで二階にかけあがる。
いつも以上にドタバタと二階に駆け上がってきたぼくを見て
「どうしたの?」
と声をかける母親。
祖父母がいなかったこと、オバケの紙を見たことを話した。
しかし、言葉が拙かったのもあり「どういうこと?」というリアクション。
うまく説明できなかったので、見せた方が早いと考え母親を一階へ連れていく。
しかし、一階の景色はほんの数秒前とは違っていた。
リビングから話し声が聞こえてくる。
「え!?だからさっきオバケの紙があって、誰もいなくてさ!!!」
「いるじゃん。2人とも」
リビングに向かうと、祖父母は呑気にテレビを見ていた。
「どうしたの?おじいちゃんもおばあちゃんもずっと居たよ?どこにもおでかけしてないよ?」
仮に二人がいたとしてもオバケの紙は放り投げたはず。しかし、どこにも落ちていない。
オバケの紙しか言わない(言えない)ので、変なのを見て怖かったねーと誰にも信じてもらえず話が終わってしまう。
「ねないこだれだ」のおばけ絵柄で再生されました
子供ごころに本当に怖かった!