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不思議体験

有野優樹さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

消してほしい理由
短編 2025/03/22 14:00 668view
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都内のスタジオで音声編集を深夜まで行なっていた木村さん。
時刻は2時。作業はまだあと少し残っていたので、自販機で缶コーヒーを買い一息つくことにした。

「よし」

トイレに行ってから残りの作業に取り掛かろうと、電気の消えた廊下を歩いて行く。トイレの電気がついていた。

「あれ?さっき消し忘れたかな」

この時間にスタジオに残っているのは木村さんだけだ。部屋を出る時には電気を消し、扉はきっちりと閉める几帳面な性格故え違和感を覚えたが、こんなこともあるだろうとあまり気に留めなかった。
用を足し電気を消してスタジオに戻る。残りの作業に取り掛かろうとしたとき、ある異変に気づいた。

変な音声データがある。

再生してみると、小学校低学年くらいの女の子の声で

「消して」

と、まるで自分に語りかけるかのように囁かれた。
驚きはしたものの怖い話が好きな木村さん。いいネタができたと思いその音声データを保存しようとした。すると左耳の後ろから

「消して」

今聞いた声と全く同じ声で囁かれた。

「だからデータは残ってないんですけど、たしかに聞こえてきたんです」

なぜ声を消して欲しかったのだろうか。
一回目に聞こえたとき、それは本当に音声データだったのだろうか。
あまり踏み込まない方がいいこともあるのかもしれない。

(※仮名を使用しております)

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