【あの頃の怪談②】写真
投稿者:綿貫 一 (31)
これはおっさんのくだらない昔ばなしだ。
それでもよければ聞いてくれ。
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オカルトブームと呼ばれた90年代。
その頃、テレビや雑誌で取り沙汰されたものの中に、「心霊写真」があった。
幸せそうな家族の背後に浮かび上がる、見知らぬ男の恨めしそうな顔。
小学校の林間学校で、笑い合う児童の肩に置かれた、誰とも知れない大人の腕。
旅先の旅館の座敷を埋め尽くす、″オーブ″と呼ばれる光の玉――。
心霊写真のバリエーションは数あれど、大別すると、「写ってはいけないものが写っているパターン」か、「写っているべきものが写っていないパターン」のどちらか、ということになると思う。
前者は主に「死者の姿」であったり、「不自然な発光体」などだろうか。
後者は「写った者の身体の一部が欠けている」ということになるだろう。
いずれにしろ、「異常な状態が写った写真」――それが「心霊写真」と呼ばれ、人々の興味関心をそそったのである。
ただ、デジタル技術が急速に進化していく中で、その不可解性は剥ぎ取られてしまった。
昔は「現像された際に偶然写るもの」だった心霊写真が、今や「誰でも簡単に加工できるもの」になり下がった。
いくら、恨めしそうな男の顔が写っていようが、怪しい腕が子どもと肩を組んでいようが、それらはすべて、「どうせ加工した画像でしょ」と、一蹴されるものになってしまったのである。
アナログからデジタルへ。
その過程の中で、消滅していった怪しいモノたち。
彼らは消えてしまったのか。
まだ、ひっそりと存在しているのか。
それとも、そんなモノ、はじめからいなかったのか――。
閑話休題。
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さて、先日、小学校時代の同窓会があった。
成人式の頃に会ったきりの、地元の友人たち。
実家を離れている私にすると、これこれ20年ぶりの再会、ということになる。
「老けたね」「変わってないね」と、口々に挨拶を交わしあうかつてのクラスメートたちの中に、当時、淡い恋心を抱いていた女性の姿を見つけた。
いわゆる、初恋の人である。
結婚して2児の母となっていた彼女は、だいぶふくよかになっていたものの、昔の面影を残していた。
懐かしくなり、杯を酌み交わす。
しばらく昔話に花を咲かせていたが、不意に彼女は手元のバッグから、一葉の封筒を取り出した。
続きだ!!
綿貫です。
それでは、こんな噺を。
う~む、分かりやすいのに良くわからない話であり、怖そうなのに怖いのかわからない。
でも意味不明な話でもない。
まさに不思議怖い話だ。