マンホール人になった友達
投稿者:綿貫 一 (31)
小学3年の頃、仲の良かった友達のAが、マンホールに落ちて死んだ。
事故だった。
Aが死んで何日か経った、ある夜のこと、僕はおかしな夢を見た。
※
薄暗い、どこかの路地裏だった。
僕の足元には、蓋が半分だけずれたマンホールがあって、その隙間から、僕を呼ぶAの声がした。
『よお、B。久しぶりだな』
「よ……よお、A。
お前、なんでそんなとこにいるんだよ……?」
僕の問いかけに、Aはかすれた声でケケケと笑った。僕は「こいつ、こんな変な笑い方をする奴だったかな?」と思った。
Aの顔は蓋の陰になっていて、よく見えなかった。
目だけが、かすかな光を反射して暗闇に浮かんでいる。
『俺か? 俺は今、ここに住んでるんだ。
俺は、マンホール人になったからな』
「マンホール人……?」
『そうさ』再びケケケと笑う。
『マンホールの下には、地下の世界があるんだ。そこに住んでるのが、俺たちマンホール人さ。
おっと、お前の考えてること、わかるぜ?
「そんな話、聞いたことがない」
「マンホールの下には、下水とかが流れてたりするんじゃないのか?」
「毎日マンホールに入って仕事をしている人たちだっているんだから、これまで世間にバレずにいられるもんか」』
『――だろ?』それまで陽気な調子でまくしたてていたAだったが、不意に、低く恐ろしい声になった。
僕は黙ってうなずくしかなかった。
他にも何か忘れている疑問があったように感じたが、口には出さなかった。
『OK、親友のお前にだけは教えてやるよ。
まず、町中にあるほとんどのマンホールは、普通のマンホールさ。中には下水が流れていたり、電気のコードとかが這ってたりするんじゃないのか?
けど、その中にまぎれて何個かだけ、何百メートルも下にある地下の世界に通じている、特別なマンホールがあるんだ。
そいつは、いつも鍵がかかっていて開けられない。地下側からしか開けられないようになってるんだ。
マンホールで仕事をする人たちが「この開かないマンホールはなんだろう?」と思っても、会社のエラい人から「気にするな。無視しろ」と言われるんだ。会社のエラい人は、もっとエラい政治家からそう指示されてる。そいつらも、もっとエラい奴から。だから、誰もその存在に気が付かないんだ』
「すごくエラい奴しか、知らないってこと?」
C子は、マンホールに連れて行かれちゃったのですね((゚□゚;))
4月度で一番おもしろかったです。自分の中ではグランプリかな。
最初らへんfoll outの世界に似てる
いい世界感や