ぼんやりする私の耳が、周囲の雑音の中から、その警官の声にだけピントをあわせた。
「えー、事故発生、事故発生。
11時20分頃、⚫⚫駅前西口ロータリーにて、白い軽自動車が歩道に乗り上げ、時計台に衝突して大破。その際、複数の通行人が巻き込まれています。
えー、目撃者の話では、運転手は3、40代の女。
事故後に自力で車外に脱出し、現場から逃走した模様――」
「えー、現場の遺留品から被害者のうち、ひとりの氏名を確認。
涼宮――はい、『涼しい』にお宮の『宮』で、涼宮――」
私が待ち合わせていた男性の名前は、涼宮圭一だった。
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それから、どうやってマンションまで帰ってきたのか、記憶がない。
気付けば一人暮らしの自分の部屋で、ぼんやりと立ち尽くしていた。
デスクの上には、充電器に刺さったままのケータイ。
液晶画面には、メッセージと着信の履歴を伝える表示が浮かんでいた。
ついさっきまで、欠けた自分の身体の一部のように、切望していたケータイ。
だが今は、それを手に取ることが恐ろしかった。
確認すれば。
観測すれば。
不確かな状態が「確定」してしまう。
「事実」になってしまう。
それが恐ろしかった。
だけど。
確かめたくないが、確かめずにはいられない。
私は、おそるおそるケータイを手に伸ばすと、メッセージを確認した。
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『今、待ち合わせ場所に着いたよ。 10:45』
『なんか遅れてる? 11:05』
(着信あり 11:06)
『オーイ、起きてるか~? 11:08』
このオマージュを理解できる人はオッサンだと思う(笑)
はい、自分もですよ
2006年くらいにアニメ見てた人には懐かしい名前
((( ;゚Д゚)))なるほど