心霊スポットに、遊びに行くのが趣味の男がいた。
行きたくない友達も無理やり連れて行き、
「知ってるかー、ここで婆さんが殺されたんだってー!婆さんの幽霊が出るぞー!」
などと言って大騒ぎをしていた。
そんな男も結婚をして子供ができたら、さすがに落ち着いて、もう心霊スポットには行かなくなった。
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ある日、妻子が行方不明になった。
警察に届けを出したが、自分でも必死に探し回った。
どうか無事でいてほしい、男は強く願った。
だがその甲斐もなく、2人は自宅からかなり離れた場所で遺体で発見された。
犯人はすぐに捕まった。
面識のない奴らで、通りすがりの犯行だった。
※
男は愛した妻子の為に、墓参りだけではなく、遺体を遺棄された現場にも花を手向に行っている。
その現場は心霊スポットになり、殺された女性とその子供の幽霊を見に、たくさんの人が遊びに行くようになった。
「母子が殺されて、こんな所に捨てられたんだってー!」
「女の幽霊が出たー!」
「子供の泣きわめく声がするー!助けって言ってるー!」
耳にしたくないのに、噂はたくさん入ってくる。
「犯人は旦那でしょ!」
中にはそんなデマを言う者までいるらしい。
心霊スポットは、誰かの死に纏わる場所であることが多い。
不幸な亡くなり方をされたり、そこにご遺体を遺棄された方がいる場合もある。
被害に遭われた方にも家族がいる。
悪気がなくても、そういう場所に遊びに行くだけで、傷つく遺族がいるということを、忘れてはいけない。
同感です。