「それで掛けた先、全て現在使われていませんというアナウンスが流れるんですよ」
「それじゃ連絡先の方が解約したってことでしょ」
「10件以上かけましたよ。それが全部繋がらないっておかしくないですか?それに私、自分にもそのスマホから掛けましたけど、ちゃんと繋がりましたし・・・」
「う~ん、それは調べてみないとわかりませんが・・・」
それについては調べてみるということで、警察官に落とし物についての調書を取られることになった。調書を取られるにあたり、私は拾った日時や場所などを再度警察官に説明した。
「このスマホの持ち主が見つかったとして、あなたには拾った者としてお礼を受ける権利があります。あなたの連絡先を伝えても大丈夫ですか?」
「それについてはお礼欲しさに拾ったわけでないので結構です」
そんなやりとりをしながら、最後に拾得物件預り書を渡され手続きは終了。なんだかんだ小一時間かかってしまったが、無事届けられたことに満足していた。
それから数日後、その出来事を忘れたころにある一本の電話がかかってきた。見覚えのない番号だったが、電話に出ることにした。
「〇〇か!余計なことをしやがって!!ただで済むと思うなよ!!」
〇〇は私の名前だが、唐突に口汚い言葉を投げかけられた。声の感じからすると年配の女性と思われる。その一言で電話は切られた。あっけにとられた私はいきなり失礼だろうと思い、かけ直して文句の一つでも言ってやろうと着信履歴を開く。
(あれ?この番号って・・・)
見知らぬ番号であったが、何か引っかかる。もしかして・・・と着信履歴を遡っていく。
・・・あった。あのスマホを拾った日、私は自分のスマホへと電話を掛けたことを思い出す。それと同時に、例のスマホの発信履歴から自分の番号を削除していないことも思い出した。
履歴を残したのは自分の落ち度であるが、それでもいきなり電話で文句を言われる筋合いはない。別に感謝されたくてやったわけではないが、あんな言い方をされるとさすがに腹が立つ。感謝されることはあってもあんな言い草をされる覚えはない。腹の虫がおさまらないと通話ボタンを押そうと身構えた・・・ちょっと待てよ?なんで相手は私の名前を知っているんだ?と冷静になって考える。
(スマホには私に関する情報は電話番号しかない。とすればあの警察官が私の名前を伝えたんだろう)
お礼はいらないから私のことは相手に知らせなくていいということを伝えたはずなのに、なんと口の軽い警察官だろうか。これだから田舎の警察官は・・・と思うと無性に彼に対して文句を言ってやりたくなった。
私は預り書に記載のある番号に電話をかけた。
「はい、□□派出所です」
「もしもし、私〇〇と申しますが」
「ああ、先日の!どうかされましたか?」
「どうかじゃないですよ・・・」
私は今しがた電話を受けた相手に言われのない罵倒を受けたこと、相手のスマホに発信履歴は残したものの、知るはずのない私の名前を相手が知っていたことを伝えた。
「お礼の件は結構って言いましたよね?あなた、私の個人情報を伝えたんですか?」
「いや、待ってください!ちょっと話がわからないのですが、相手方があなたに直接連絡してきたんですよね?」
「だからそう言ってるじゃないですか!あの拾ったスマホと同じ番号から掛けてきたんですよ!」
「ちょっと落ち着いて!落ち着いてください!」
大分興奮していたのか、私を宥めるように警察官が言葉を遮った。
「〇〇さん、それはちょっとあり得ない話です」
「はぁ?どういうことですか?」
少し間を置いて警察官は言った。
一度、お祓いに行かれては良いのでは?
kamaです。こちらの作品も濃密でいいですね。怖さがジットリ来ます。
あの拾ったスマホを拾った日
って、なんか文章おかしくないです?
二重情報になってる
あのスマホを拾った日、で伝わりますよ
文章の誤りのご指摘ありがとうございます。
しれっと修正させていただきました。
とくのしん
まぁまぁ怖くて良かったのですが、都会の謙遜で笑ってしまいました。
都会の喧騒と書きたかったのですよね。
わぉ、指摘した者です
批判殺到覚悟してましたが修正までして頂けてたんですね、なんか、スミマセン…
物語が面白かった故につい…
とくのしん様、応援しております
こちらこそしれっと修正させていただきました(笑)
たまに、自分でも気づいてこそっと修正したりするんですけどね(笑)
ご指摘ありがとうございました。
とくのしん
今回のも怖くて面白かったです。
じわじわとしのびよる怖さというか、やっぱり上手いです。
ふふふ なんだ? 怖いですよーー