「話したじゃないですか。御札貼ったって」
「ああ、霊が出るから?霊道だかなんだかで」
「そうそう。なんか俺の部屋六階じゃないですか。その高さらしいんですよね、霊道」
「で、御札貼ったんでしょ?」
「はい。神社で貰ったやつ壁に貼ったっす」
「治まった?」
「いや、それが怒られたんですよ」
「あー、管理会社の人には怒られるかもねえ。新築でしょ」
「霊に怒られたっす」
「ん?」
「御札貼った日、夜中に目が覚めて、そしたらベッドの横におっさんが立ってたんですよ。顔めっちゃ青白いのに額とかテカテカで、首からロープぶら下げたおっさん」
「霊なのそれ」
「霊です。御札貼ろうと思ったきっかけですもん、そのおっさん。毎晩俺の部屋通って消えてく常連」
「うん…まあ…話して」
「怒られました。あんたさあ、困るんだよねえ、勝手にこういう事されると~って。いや、なんすか?何がですか?って聞いたら、俺が勝手に御札貼ったから通れなくなったみたいで」
「ああ…効果あるんだあ…。で、どうしたのその後」
「最初はこっちも、いや困ってるんで、って言ったんですよ。そしたらおっさんがジェスチャーで後ろ見ろ、みたいに。見たら行列できてました。多分十人くらいいた」
「御札貼ったせいで渋滞発生」
「並んでる人ら、皆して迷惑そうに俺のこと見てくるんですもん…。あっすいません…って。謝って、剥がしましたね。まあそれが先週の話で」
「うん…」
「耐えました。でもやっぱ無理でした。自分の部屋を知らん人の霊がゾロゾロ通過してくのキツいじゃないですか。他人の霊ですよ。顎がなくて舌がベロンってなってるおっさんとか、頭がベコッてへこんでる婆ちゃんとか、全身ズル剥けの人だとか、全員知らん人の霊ですよ。俺のプライバシーってそんな軽視されるもんなんですか!なんで知らん人の霊が俺の部屋を通過してくんですか!」
「知人の霊でもキツイけどね」
「で、俺も考えましたよ。部屋が駄目なら外に貼ればいいじゃん!と。玄関のドアに御札を貼り直しました。部屋に入れなきゃ迂回するかもしれないし、霊のついでにN〇Kとか避けられるかなって」
「あー…オチは分かったけど」
「玄関の前に渋滞できてました」
「あー…」
引っ越すしかないですな。
霊道は塞がないでください
通行料を徴収しましょう。こっちにも何かメリットがないと。