知人のA子さんが高校生の時の話です。
学校から帰宅して着替えようとしたとき、背後で『パタッ』と、
何か小さなものが落ちるような音がしました。
見ると、足元に消しゴムが転がっています。
まだ真新しいですが、まったくの新品ではなく、
2〜3回使用したように、先端の端がわずかに削れていたそうです。
しかし、彼女にはその消しゴムに見覚えがありませんし、買った覚えもありません。
中学生の弟に聞いてみても「知らない」と言います。
何だろう? と思ったのですが、特に気に留めることなく、
今使っている消しゴムがなくなったら使おう、と引き出しにしまいました。
翌日、授業中に、彼女の斜め前に座っているB子さんが、
消しゴムを落として、A子さんの足元を掠めて転がっていくのを、
A子さん本人も視界の隅で捉えていました。
拾ってあげようと体を屈めましたが、見当たりません。
「確かにこのあたりに転がったよね?」
周囲の生徒も見回しましたが、見つかりません。
「また後で探しなさい、すぐ出てくるだろう」
先生が言い、B子さんもシャーペンの後ろについている消しゴムでしのぎました。
休み時間も探したのですが、結局見つかりませんでした。
「あーあ、買ったばかりなのになー」
「おかしいねー」
B子さんも周囲も不思議そうでしたが、A子さんには心当たりがありました。
翌日、掃除当番だったA子さんは、
「昨日落としたの、これじゃない?」
と、自分の部屋に突然あらわれたあの消しゴムをB子さんに見せました。
「そうそう、これ! どこにあったの?」
「掃除してたらゴミ箱の後ろから出てきたよ」
「ええー、あれだけ探したのにー」
B子さんは不思議そうに首を傾げました。
「妖精さんが悪戯したんじゃない?」
「そうかもね」
と、笑い話で終わりました。
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