私の父と母はきょうだいが多く、親族間の仲も良好です。
毎年正月は、父方兄弟の長男である伯父の家に親戚が集まっていましたが、
コロナ禍で、ここ数年見合わせていました。
今年は久しぶりに私の両親が、伯父の家へ行くというので、もう何年も顔を合わせていなかったので私も参加しました。
そのとき、伯父と父と私で、おせち料理をつつきながら酒を飲んで話をする機会があったので、
なにか面白い話はないかなと、いろいろ聞いてみたところ、伯父がこんな話をしてくれました。
伯父が小学校低学年くらいの年齢だった頃のことです。
原因は忘れたそうですが、夕食どきに伯父はひどく不貞腐れて、父母や兄弟が食事を摂っているなか、
席にはつかず、壁際に立ったままハンストを敢行していました。
すると、それまで黙っていた祖母が、
「いつまでもむくれていると仁王様に頭をはたかれるよ」
と、言いました。
その直後、伯父は後頭部をいきなりバチンと叩かれたのです。
伯父は驚いて振り返りましたが、もちろんそこには誰もいません。
家族は全員、食卓についているのです。そのとき、伯父の頭の中には、
『赤銅色の肌をした、筋骨隆々の腕が天井から、
ヌッと出てきて、伯父の後頭部を叩いた』場面が生々しく浮かびました。
伯父は慌てて食卓についたそうです。
数日後、伯父は祖母になぜあんなことを言ったのか尋ねましたが、
「そんなことを言った覚えはないよ」と、キョトンとしていました。
他の家族に訊いてもお祖母ちゃんは何も言ってないと答えました。
あのとき、むくれていた伯父がいきなり頭を押さえて、キョロキョロと周りを見回した後、
怯えた表情で食卓についた、だけに見えたそうです。
その話を一緒に聞いていた、伯父の弟である私の父は幼すぎて覚えていなかったのですが、
「確かにあのとき、お祖母ちゃんはそう言ったし、仁王様に頭を叩かれたんだよ、それは間違いないんだ」
そう言いながら伯父は白髪頭を撫でていました。
「それじゃ、あれは覚えているだろう、アマゾン山に行った時のことをさ」
伯父は、さきほどの話を覚えていない父に酒を注ぎながら言いました。
「ああ、あれか、あれは覚えてるよ」
とても有難い御方に護られていらっしゃるのですね
とても優しいお方でよかったですね^ ^