コタツの中に…何かいる!
投稿者:with (43)
俺はコタツで二度不思議な体験をしたことがある。
一度目は、小学生の頃に夕食後リビングのコタツで寝っ転がってテレビを見ていたときだ。
その時他の家族はコタツの外でそれぞれ自由に何かやっていた記憶があるが、俺は一人でコタツに入っていたのは覚えてる。
好きなバラエティ番組を見て笑っているような何の変哲もない一日で終わるはずだった。
「うわっ!」
突然俺が声を上げたので、近くにいた母親が、
「どしたん?」
と声をかける。
「いや、今…」
俺はコタツから飛び出るなり自分の足首を確認する。
誰かに足を引っ張られた、そういう感触があったのだ。
とりあえずコタツ布団をめくって中を確かめたが、勿論誰もいないし、そういう類いの物が入っていることもなかった。
「…何か足に当たったんじゃけど、なんじゃったんじゃろ」
「やめてーや、そんな」
俺が変なことを言うもんだから、母も嫌そうに顔を歪めた。
これが小学生の頃の不可解な体験だった。
それから中学生になり、そんなことも忘れていた冬の晩の事。
家族はダイニングで夕食を食べていたが、一足先に完食した俺はコタツでぬくぬく暖をとっていた。
「あんた、食べてすぐ横なったら牛なるよ」
「はいはい」
母とそんなやり取りをしていた時、足首を捕まれた感触がした。
「…!?」
声は出さなかったが俺が足を曲げたせいでコタツがガタンと浮いて卓上のリモコンが跳ねた。
「ちょっと壊さんのよ!」
母の注意をよそに、俺は冷や汗をかいて、小学生の頃の体験を思い出していた。
俺はそのまま静かにコタツから出ると、キッチンに向かって自分が食べた後の食器を洗い始める。
単なる現実逃避もあるが、とにかくコタツから離れたかったのも強かった。
そんな俺を見て母「珍しい」とこぼしていた。
小学生の時はコタツの中に何もいなかったが、今コタツを覗いたら誰かいるんじゃないか、そういう思いが第六感なのか知らないが強く沸いていた。
そして、怖がらせるのもなんなので、家族の誰にも言わなかった。
結局それ以降何も不思議な事は起きてない。
ちょうどコタツを出そうとしてたのに…