かごめかごめ
投稿者:件の首 (54)
昨日、高校時代の友人から聞いた話。
幼稚園の頃、園庭で彼女達はかごめかごめをして遊ぶ事になった。
順番に鬼をして、後ろの人を当てていき、最後にA子の番になった。
A子はあまり頭の回転が早い子ではなかった為、友人達は彼女をなにかとからかっていた。
A子がしゃがんで目を瞑ると、友人達は歌いながら回り始めた。
だが、徐々に距離を取り始め、そして歌が終わる前に皆、A子独りを残していなくなってしまった。
友人達は園舎の陰に隠れ、A子が目を開けて驚く様を期待して眺めていた。
A子は目を開けて立ち上がった。
それから、真っ直ぐ友人達のいる方向へ歩いて来た。
友人達はあまりに早く気付かれた事に驚きつつも姿を現し、「冗談だよ」と済ませようとした時。
A子は一番近くにいたひとりに掴みかかると、耳を噛みちぎった。
咄嗟に保育士がA子を取り押さえた事で、それ以上の事は起こらなかったが、A子はいつまでもくちゃくちゃと噛みちぎった耳を咀嚼していた。
大人になって、友人はかごめかごめが降霊術であるという説を知った。
真ん中に誰も入れずに行うと、神が降りてくるが、そこに素質のある者がいれば憑依し得る。
古来、カミは「鬼」の文字を当てる。
輪は内外を分かち悪しき者を退ける結界だが、彼らは途中で輪を破ってしまった。
当時の記憶を辿ると、A子は砂場を背に、園舎を前にしていた。立地から考えて、背後は北東に当たる。
これは古い言い方で丑寅と呼ぶ。
鬼門と呼ばれる鬼が訪れる方角だった。
友人は怯えた顔で見せたニュース記事には、A子が殺人容疑で逃亡中、とあった。
今朝、気になって連絡を取ろうとしたが、返信がない。
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