友人Aから「最近めちゃくちゃ怖いことがあった」と教えてもらった話です。
その日Aは久しぶりに長い残業があり、かなり遅い時間に会社を出ました。
Aの家があるのは、田舎の閑静な住宅街です。
ぽつぽつと立っている街灯の他には灯りはなく、車も人も通りません。
最寄り駅から家までの十数分の道のりさえ、Aはとても長く感じました。
早く帰ろう、と無心で歩いていた時です。
少し遠くにある街灯の下に、ちらっと人影が見えたそうです。
こんな時間に俺のほかに人がいるのか、と思いながら歩いていると、奇妙なことに気がつきました。
その人影は、街灯の下をぐるぐるぐるぐる、円を描くように歩いているのです。
見るからに普通ではありません。
うわっ、変人かな、近くを通ったら危ないかなあと思いながらも、歩いているのは一本道。
引き返すわけにもいきません。
Aは仕方なく、そのまま近づいていきました。
ぐるぐるぐるぐるぐるぐる、人影は街灯の下を回り続けています。
ぐるぐるぐるぐる。
ぐるぐるぐるぐる。
数メートル手前まで近づいた時です。
Aはハッとしたかと思うと、慌ててぐるりと踵を返し、一目散に元きた道を駆け戻りました。
後ろを振り返る勇気はありませんでした。
なぜなら、街灯の周りをぐるぐる歩いていた人は、頭が前後反対についていたのです。
本来後頭部がある場所に、無表情の男の顔がついていて、身体はまるで後ろ歩きをしているようにぐるぐる歩いていたのだそうです。
絶対にこの世のモノじゃなかった、とAは断言しました。
翌日、その人影が歩いていたまさにその場所で交通事故があり、80代の老人が亡くなったそうです。
そのニュースはたしかに私もテレビで見ました。
「今度はいつ、あの男に出くわすかと思うと、夜に出歩くのが怖い」とAは言っていました。
皆さんも、人気のない夜道を歩く際にはどうぞご注意ください。
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