絵でも写真でも、どのようなものでも、「複製される」ことで価値が下がっていくのはこの世の摂理といえます。
オリジナルには唯一無二の価値がありますが、コピーは所詮コピーでしかありません。
データに関しても同じことが言えます。
画像や動画は、何度もコピーを繰り返すうちに劣化し、画質が荒れ、価値を徐々に失っていきます。
──しかし、「呪い」や「怨念」といったカテゴリでは、この考えが必ずしも当てはまらないことがあるようです。
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これは、とあるオカルト系のWEBサイトを運営している知人から聞いた話です。
以後、その知人のことは「田山さん(仮名)」と呼ぶこととします。
田山さんとわたしは、とあるオフ会で知り合いました。
話をするにつれて、わたしが日頃から読んでいるサイトの管理人ということが発覚。
他のオフ会メンバーそっちのけで、田山さんとの会話に没頭して、質問攻めしてしまったことを今でもはっきりと覚えています。
(田山さん、そしてオフ会に参加したほかの皆さん、ご迷惑をお掛けいたしました)
「ホラー系を扱っていると、何か霊的な体験をしたり、気をつけていることがあったりするのですか?」
興味本位で尋ねるわたし。
「いやー、あんまりそういう体験はしてないかなー。僕、霊感ないんで」
田山さんはそう答えたあと、少し考えた素振りをして続けます。
「あー、でも、ひとつありました。そうそう、画像の転載には少し気を付けたほうがいいって話なんですけど」
それまでよりもやや低いトーンで、ぼそっとそう呟きました。
「確かに、最近は著作権やコンプライアンスの問題が厳しくなっていますからね~」
そう返すと、田山さんは苦笑しながら、「あー、まぁそういうのもありますけど、そういう話ではなくて……」と、神妙な面持ちで返します。
どういうことか理解ができなかったわたしは、すこし詳しく聞かせていただいてもよろしいでしょうか?と尋ねます。
田山さんは、真剣な表情で、体験談を話しはじめました。
***
それは、田山さんがいつものように記事を書いていた日のことでした。
その日は、2000年代初頭に2chやふたば掲示板などで話題になった恐怖画像についてまとめる記事を作成していました。
「ほんと、よくあるまとめサイトみたいな感じの記事。『ネットで一番怖い画像あげたやつが優勝wwwww』みたいなやつね」
スレ内の画像を保存しつつ、画質が荒すぎるものは再度検索をかけて、より高画質なものに差し替える……そんな作業を繰り返しつつ、記事をまとめていきます。
ですが、とある画像だけ……どうしても、ひどく画質の荒れたものしか見つからなかったそうです。
仕方なく、手に入る範囲で最も鮮明なものを記事に掲載しようと、画像を保存した瞬間。
自分しかいないはずなのに、背後に妙な気配を感じたといいます。
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