お線香の部屋を覗いていたら……
投稿者:峰 (38)
友人Aが小学生の頃、クラスメイトの家でお泊まり会が開かれた。
ゲームし放題、お菓子食べ放題と言われて、何人かの友人が集まったそうだ。
家に行くと優しそうなお母さんが出てきて、たくさんお菓子やジュースを出してくれる。
クラスメイトも自分のゲームや漫画を惜しみなく貸してくれて、天国のような時間だったそうだ。
やがて夜になり、美味しい夕飯とお風呂を頂くと、そろそろ寝ようかと布団が敷かれた。
みんな遊び疲れたからか、雑魚寝であっという間に寝入ったそうだ。
深夜、友人Aはトイレに目を覚ました。そっと部屋を出てトイレを探す。
確かこっちだったよなー、と廊下を歩いていると、不意に突き当たりの部屋からお線香の匂いが漂ってきたそうだ。
しかも、それはただの匂いではなく、線香の束を纏めて燃やしたのかというほど強烈な匂いだった。
友人は不思議に思い、なんとはなしにその突き当たりの部屋の前まで行った。
子どもだったからか、特に悪気もなく部屋の中を覗こうとドアノブに手をかけた。
しかしその瞬間、何か悪寒のようなものがゾゾゾっと背中を駆け上がり、友人は「中を見ちゃいけない」と直感した。
そこで、友人はそーっと廊下を引き返し、何事もなかったかのように部屋に戻ると、そのまま布団に潜って寝てしまった。
そして一晩眠ると能天気な友人は夜中の出来事もほぼ忘れて、何も気にせずに起床した。
翌日も変わりなく楽しく遊び、さあ解散しようかという時。
突然肩を叩かれて、友人が振り返ると、その家のお母さんが優しい笑みを浮かべてこう言ったそうだ。
「昨日の夜さー、部屋の中見ればよかったのにー。」
口調は優しかったが、言い知れない何かを感じて、友人はモゴモゴと誤魔化して逃げ帰ってきた。
クラスメイトの家ではそれ以降もお泊まり会が開かれたが、友人が行くことはなかったという。
あの晩、お母さんはどこから友人を見ていたのか。
お線香の部屋を覗いていたら、何が起きていたのだろうか。
こういうの大好き