3年前、恋人に振られて生きる気力を無くした私は自殺しようと近くの漁港へ向かいました。
実は従兄弟が同じ理由でこの場所で自殺しています。
非常に仲が良かったので少しでも恐怖心を無くすためにこの場所を選びました。
なかなか決心が付かずタバコを吸って車の中で何度もカッターナイフを握りしました。
そして人生最後の勇気を振り絞り手首を切りました。
出血が酷く恐怖心から気を失ってしまいました。
ふと目が覚めると車内は血まみれです。
しかし生きています。
頭がクラクラして意識も朦朧としています。
ぼーっとしていたら人の気配を感じました。
助手席側の窓を覗くと間違いなく人が立っています。
釣り人かな?
よく見たらここで亡くなったはずの従兄弟です。
毎週のように会っていたので顔を見間違えるはずがありません。
従兄弟はにっこり微笑んで「生きろ」と言いました。
声では無く心の中に問いかけられたのです。
同時に車のハザードランプが点灯してクラクションが鳴り響きます。
ヘッドライトも点滅しています。
私は何もしていません。
思わず「M兄ちゃん!」と叫びました。
すると靄のようにスーっと姿が消えていきました。
「行かないで!」もう一度大きな声で叫びました。
すると、運転席側の窓がノックされました。
異変に気付いた釣り人が私の車に駆け寄ってきたのです。
尋常じゃない状況を見て優しく声を掛けてくれました。
遺書も置いてあったのですぐに自殺と気づいたようです。
そして救急車を呼んでくれました。
安心したのはまた意識を失ってしまいました。
夢の中でM兄ちゃんが「もう大丈夫」「俺と同じ道を歩くな」と優しく声を掛けてくれました。
目が覚めた時は病院のベットの上で両親が涙を流して立っていました。
あの時、M兄ちゃんが助けてくれなければ今の私はここに居ません。
どんな事があっても自殺はしないと心に誓って生きています。
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