これはちょうど1年前に私が長野県へ渓流釣りに行った時の話です。
車を駐車場に止めて沢を登りながら源流を目指して沢山のヤマメを釣りました。
時計を見るとちょうど16時です。
暗くなる前に車へ戻らなければ遭難する恐れもあるので急いで道具を片付けて来た道を戻りました。
途中、妙な視線を感じたので熊でも出たかと思い、振り返ったのですが何もいません。
気のせいかと思って歩き始めると目の前に大きな木が立っていました。
来るときには全く気付かなかったのですが、劣化した太いロープが括り付けてあります。
とっさに首つり自殺をした人がると想像してしまい怖くなってしまいました。
駆け足で下山して駐車場に戻ると常連でいつも声を掛けてくれる地元の釣り人と会いました。
60歳くらいの方でヤマメをおすそ分けして釣り談議に華を咲かせます。
そろそろ話を切り上げようとした時です。
「そういえば、先日綺麗なお姉さんが首を吊って亡くなったんだよ」
先ほど見た木に掛かったロープの姿を鮮明に思い出してしまいました。
ここから高速道路までは30分の山道です。
夏とはいえ、木々がうっそうとしているので薄暗く、怖くなってきたので急いで下山する事にしました。
車を軽快に走らせてワインディングを抜けていきます。
ワンボックスカーですがスポーツ走行も得意としているので気持ち良くドライブ出来ます。
10分程走った時の事です。
目の前に若い女性が歩いている姿が目に入りました。
大きなリュックサックを背負っているのですが、どう見ても登山者には見えません。
しかし、最近はインスタ映えを狙って写真を撮りに来る女性も多いので特に不自然さを感じませんでした。
車で追い抜いてミラー越しに顔を確認したら20代の綺麗な女性でした。
そのまま車を走らせているとフロントガラスに雨粒が落ちてきたのです。
先が見えなくなる程の夕立に襲われてしまいました。
夏とはいえ、長野の山奥は気温が低く雨に打たれると風邪をひきます。
先ほどの女性が気になったので車で引き返すとバス停の陰に座り込んでいました。
ここは駅からバスが通っているのですが本数が少ないです。
ましてや、こんなずぶ濡れでバスに乗るのは気が引けるはずです。
車を停めて話しかけると安心した表情を見せてくれました。
足もちゃんとあるし幽霊ではありません。
良い終わり方で良かったわ~
月に1度釣りに行けるこの主人公は精神的、経済的にも余裕があって羨ましいと思ってしまった。
月いちの釣りのついでに供養するなんて素敵
優しくて、勇気のある方に会えて良かったです。