地獄の音
投稿者:Dandelion (1)
これは20年ほど前、私が都内の某レコーディングスタジオで働いていた時の話です。
働いていたと言ってもアルバイトだったのですが、4年ほど先輩エンジニアのアシスタントに専念し、一通り仕事を覚えた頃、先輩がそろそろ正社員になるか?と言ってくれました。
正社員として働くにはレコーディング全ての作業を1人でこなせなければなりません。
バンドとの打ち合わせに始まり、セッティングから録音、トラックダウン(最終的な音の調整)までを1人でできてやっと一人前なのです。
私の実力を判断してもらうには、試験的なレコーディングをしなければいけないわけなのですが、さすがに半人前の私が有名で実力のあるバンドのレコーディングを担当するわけにはいきません。アマチュアでなるべくレベルの高くないバンドを担当することになります。
そんな中、予約をしてきたのが大学生3人組のアマチュアバンドでした。
彼らは初めてのレコーディングで、なるべく安く短い時間で2曲を録りたいということです。
こんな言い方は良くありませんが、スタジオ的には失敗してもよいバンドというわけです。
担当は私になりました。
トラックダウンまでを含めて2日間というスケジュールでレコーディングすることになりました。
当日、軽い打ち合わせをしてから早速ドラムとベースのセッティングをしてレコーディングが始まりました。
大学生の実力はまずまずでレコーディング自体はスムーズに進みました。
ギターを録音している時でした。
ギターの子が演奏中に手を止めて
「今女の人の声しませんでした?」
と言うではありませんか。
レコーディングでは基本的に本番中に演奏している人に話しかけることはありません。
また、エンジニアである私や他のメンバーが待機しているミキシングルームの声も、手元のボタンを押しながら話さないと演奏中の人のヘッドホンには届かないようになっています。もちろんこの時は誰も話しかけていません。
ギターを演奏しているのも分厚いドアで閉じられたブースと呼ばれる小部屋なので、外の声が入ることもありません。
実際に録音した音を確認しましたが、特に声のような音も入っていなかったので、「気のせいじゃない?」といい、レコーディングを進めました。
実際にギターのエフェクトや奏法によっては人の声に似た音が出ることもあるので全く気にしていませんでした。
その後も、「なんだか声がした気がするんですよね…」と何度か言っていたギターの子ですが、私も他のメンバーも気のせいだろうと流していました。
そんなことがありつつもギターの録音は無事に終了。
残るはギターの子によるメインボーカルと他メンバーのコーラスなのですが、ここで問題が発生しました。
通常、ボーカルというのは曲の途中で声質が変わるのを避けるため、1曲を日をまたいで録音することはあまりないのですが、1曲目のボーカルがうまく歌えないというところでタイムアップ、メンバーの終電の時間となってしまったのです。
しかし残された時間はトラックダウンも入れて明日1日しかありません。
そこで私はメンバーに提案しました。
幸いにもボーカルは数回分は録音してある。明日までに私がこれらを良いとこ取りでつなぎ合わせ、音程がずれているところは修正しておくので明日は2曲目のボーカル録りから始めないか。という内容です。
レコーディングエンジニアはほとんどがPro Toolsというツールを使っており、このツールを使ってしまえば音程やリズムのずれはもちろん、ありとあらゆる修正ができてしまうのです。
スタジオとかライブハウスは出やすいって聞いたことがあります
なんでだろ
リアリティがあっていいですね
自分もレコーディングエンジニアしてた時にここまでではありませんが作業中に視界の隅からずっと何かが覗いてくるスタジオがありました。その方へ視線を向けると何もないんですが作業を始めるとまた何かに覗かれてるんです。それ以上は何もありませんでしたが何とも気味の悪い体験でした
怖いな。
そんな場所で働ける人達は凄い!!
自分にそんなことが起こったらと考えたら、怖いよりも面白くなってしまいました。
俺もウィンターでそこが心霊スポットって聞いた時はびっくりした