「田端登、か。そりゃ覚えてるさ。お前あいつに散々酷いことしてたよな」って。
・・・は?酷いこと?なんだそれって、どういうことか聞いてみたんだよ。
「お前マジで忘れてんのか?田端の事めちゃくちゃいじめてたじゃん。目つきが気に入らないって理由で殴ったりプロレスごっこっつって気絶するまで締め上げたりさ。あと持ち物に卑猥な落書きをするわ給食にゴミをいれるわでやりたい放題だったろ。噂では金も巻き上げてたらしいじゃん。まぁ積極的に止め無かったクラスの連中もアレだけどさ。しかしほんといつもアザだらけで可哀想だったよ田端」
それ聞いてもう俺混乱したね。田端なんて奴知らないのにいじめなんかするわけねーだろって。けどその友達は冗談いってる風でもなかったし、逆に俺が変な目で見られて。
で、じゃあその田端って奴今どうしてんだ?って聞いたのよ。
そしたら・・・
「お前そんなことまで忘れてんのかよ?田端なら死んだろうが。歩道橋から落ちてさ。
遺書が無かったから単なる事故扱いになってそれほどの騒ぎにはならなかったけど、でも皆言ってたぜ?お前のイジメが原因で自殺したんだろうって」
それ聞いて俺もう頭抱えたよ。そんなわけねーだろって。何かの間違いだろって。
でもそいつは一歩も譲らなくてさ、だったらクラスの他の奴に聞いてみろって言うんだよ。
勿論俺も流石に収まりつかないからさ、別の日に当時の担任に連絡取ってみたんだよ。
まだ同じ小学校で現役で教師を続けてるみたいだから学校に電話したらすぐ取り次いでくれたんだけどな。
で、その担任と軽く世間話した後に田端登の件を持ち出してみたらさ、
「・・・もう昔の話で終わったことだろ。あまり気にするな。あれは事故だったんだ」
って、なんか意味深な事を暗い声で言われちゃって。
担任にまでそういわれたらもう認めるしか無いじゃん?田端登は存在して、俺はそいつをいじめてたって。
後な、実は俺小学校卒業して中学からは地元じゃなくて遠い土地の知り合いのいない場所の学校に行ってたんだよ。当時は父親の仕事の都合って親から聞かされてたけどなんか不自然だったし、アレは俺のイジメの件が近隣中に知れ渡って地元にいられなくなったからって考えたら辻褄が合うんだよな。
・・・けどな、何度も言うけど俺本当に知らないんだよ。田端登なんて奴は。ましてや自殺に追い込むほどいじめてたなんて絶対信じらんねぇ。けど否定しようにも俺の周りの状況がそれを許してくれなくてさ・・・
まぁ別に生活に支障が出るような事じゃ無いけど・・・なぁ。なんか気持ち悪いだろ?
お前どう思う?
*
*
*
*
そこで沖本の話は終わった。
話し始めてから10分そこらだが俺は途中で口を挟むこと無く聞き入ってしまっていた。
「・・・いや、なんというかすごい話だなって。ほんとの話か?それ」
「当たり前だろ。なんでこんな作り話すんだよ」
そこで俺もそのタバタノボル君とやらの顔を是非見てみたいと思った。
「なぁその卒アルって今もある?俺にも見せろよ」
沖本は立ち上がると押し入れに向かい、それから手にアルバムを持って戻ってきた。
そして6年3組のページを開いて俺に渡してくる。
「ほら、こいつだよこいつ」
そう言って沖本はページの右下の一角を指さしてきた。
「・・・・・・ん?」
しかし沖本が指さしている場所には写真はなく、単なるページの背景色しかない。
「え?どこだよ」
「ここだって、ここ」
そう言って相変わらず何もない隅っこのスペースを指さしている。
「・・・いや、何も無いじゃん」
「だからぁ!ここだよここぉ!ほらよく見ろよ!なぁ!」
いきなり声を荒げて怒鳴ってきたから(あ、こいつやべぇ)と思った俺は
「あ、こいつか~。確かに気味悪いな」
と、とりあえず調子を合わせておいた。もちろんページのどこにも田端登などいない。
「だろ?不気味だよな。ほんとどうすりゃいいんだろうな・・・」


























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