自室でくつろいでいると、不意にラインが入った。
元カノからだ。
彼女とはちょうど1年前くらいに別れており、そこからは全く連絡をとっていなかった。
渡したいモノがあるから、今夜いつものスタバに来て。
付き合っていた頃、お互いスタバが好きで毎週のように行っていたことを思い出す。
渡したいモノってのは俺が同棲していた部屋を出て行った時に置いていた物のことだろう。
正直、あまり良い別れ方じゃなかったから逃げるように部屋を出て、勝手に別れを告げたんだよな。
今では心の整理も出来て、なんならやり直そうとさえ思ってる。
分かった。
と返事をし、2人の思い出を辿りながら会ったら何を話そうか考えていた。
結局、何を話すか上手く纏まらないまま目的地に着いてしまった。
店内に入ると、すでに彼女は席で待ってくれていた。
大きな目、長い髪、何も変わらない。
変わったのは、地味な服を好む彼女が真っ赤なワンピを着てることぐらいか。
話は彼女の方から切り出した。
俺が部屋に残していったモノを丁寧に個包装して紙袋に入れてくれていた。
ギターとか大きなモノは悪いけど売ってお金に替えたから、その分のお金もと。
お金に関しては受け取れないと言ったが、彼女は断固として受け付けなかった。
全部アナタのだから。
権利も、責任も、必ず持って帰って。
中身は必ず確認して。
そう言うと、彼女は足早に店を出て行ってしまった。
ヨリを戻そうなんて言う雰囲気ではなく、俺は淡い期待を抱いていた自分を恥ずかしく思いながら、コーヒーを一杯飲んだ後に帰ることにした。
帰宅後、早速渡された紙袋から中身を確認していく。























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