あの時私は高校1年生で、暑くも寒くも無い丁度良い季節だったと思う。
具体的に何月だったとか、その辺はもう今じゃ曖昧になって覚えていない。
中3の時のクラスで集まろうという連絡が回ってきて参加することにした私は気だるい空気が漂うある日曜の昼下がり、普段以上に身なりを時間をかけて整えて、久しぶりに友人達に会える期待感に胸を膨らませながら家を出た。
場所は中学校近くにあるファミレスで私も学校帰りとかに友人達とよく行っていた店だから馴染みのある場所だった。今日の集まりの為に特別に貸し切りしているとのことで飲食代も全て担任が持ってくれるというのだから随分太っ腹な話だ。
店に着いた時、ドアからは既に男女の騒いでいる賑やかな声が漏れ出ていた。
「遅れてすいませーん!」
「おっ望月!久しぶりだなー。お前も全然変わってないなぁ!」
そういう担任の石川先生こそ陽に焼けた顔と短く刈り込んだ頭といういかにも熱血教師らしい風貌は全く変わっていない。
「もっちー!こっちこっち-!」
懐かしい声がした方向に顔を向けると、入り口から右奥にあるボックス席から千夏と愛香が手を振っていた。
「あーめっちゃ久しぶりー!元気してた?」
それぞれ別々の高校に行った二人に会えてテンション上がった私ははしゃぎながら近況報告をして、一段落付いた頃にドリンクバーでアイスティーを入れてきた。
思い返せば3年1組は和気藹々としてまとまりのある中々良いクラスだったと思う。
球技大会や合唱コンクールでも持ち前の団結力を発揮して好成績を収めてきたのだ。
ストローを啜りながら店内を見回してみると、一人の男子生徒に目が行った。密かに片思いしていたバスケ部の赤坂君で、相変わらずかっこいいなーと見とれていると赤坂君もこちらを見たものだから目が合ってしまい、慌てて顔を背けた。
ヤバ、見てたのバレた? ・・・まぁいいかバレても。
そんな私の様子を千夏と愛香はニヤニヤしながら眺めている。
「もっちーってばまだ赤坂君が気になるのぉ?いい加減新しい恋を見つけなよ」
「うるさいなぁ!ほっといてよもう・・・」
「めっちゃ赤くなってるしww」
茶化されてむくれていると注文したパスタが来たので食べながら改めて騒々しい店内を眺めていると、ある事に気付いた。
「あの子は今日来てないっぽいね」
「あの子って?」愛香がきょとんとして聞いた。
「ほらあの子・・・墨田さん」
墨田華子は痩せた身体に腰まで届く伸ばしっぱなしの黒い髪、外に一度も出たことが無いような異様に白い肌をしていたクラスメイトの女子生徒だ。
休み時間は誰とも喋らず本を読んでいるかノートに変な絵を描いて過ごしていて、親しい友人はいないようだった。
感情を表に出すようなことも無く常に無表情で、少なくとも私は彼女が笑ったり怒ったりしている所を一度も見たことが無い。卒業後どこに進学したのかも分からない。
流石にいじめられては無かったけど、クラスで浮いた存在だったのは事実だ。
私も登下校の時に挨拶した事はあるけど会話らしい会話はしたことがない。
そんな彼女だから今日のような集まりには参加しないとは思っていたけど。
























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