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心霊

Mineさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

俺が決意した理由
短編 2026/02/04 16:01 66view

まだ社会人1年目の肌寒い時期だったかな。
仕事終わりにスーパーに寄って酒とつまみ買って、明日は休みだししこたま飲むぞ!
なんて疲れも忘れて足取り軽く夜道を歩いて自宅アパートに帰ったら、何があったと思う?
ダイニングキッチンで見知らぬ男が首を吊った状態でぶら下がってたんだ。
死後それなりに時間が経ったみたいに肌も黄土色でぐずぐずに腐った感じになって首もだらんと伸びきってる状態。
それを目にした俺は「やべ、部屋間違えた」と思ってすぐ玄関を出て表札を確かめた。まぁそこは間違いなく俺の部屋だったんだけど。
そこでようやくこの異様な状況に脳が追いついてパニックに陥って、警察呼ぶ前に念の為もう一度確認しようと恐る恐る部屋に戻ると、
きれいさっぱりあの首吊り死体が消えていた。
幻覚というにはあまりに生々しくはっきりしてたし、とりあえず塩を撒いてそれでも怖かったから友人をアパートに呼んで一晩だけ泊まって貰い、何事も無く朝を迎えた。
「やっぱ疲れてんだよお前」

友人は軽い調子でそう言ってたし、俺もそうかもしれないなとその時はそれで納得したけど後日、またあの首吊り男がアパートに現れた。俺がトイレに入ろうとドアを開けたら中であいつが同じようにぶら下がっててさ。
不動産屋からは事前告知とか無かったけどやはり事故物件に違いないと、俺はすぐ別のアパートへ引っ越した。職場からは遠くなったけど背に腹は代えられない。
でも甘かった。引っ越し先のアパートでもヤツは平気で姿を現した。
ある日夜中に目が覚めると、ゆらゆらと動く誰かの足先が視界にいっぱいに飛び込んできたんだ。しばらくぼんやりそれを眺めてようやく、仰向けの俺のすぐ上で首を吊ったなと理解し跳ね起きて明かりをつけたけど、既にあいつは忽然と消えていた。
認めたくなかったよ。だってアレは建物ではなく俺自身に憑いているってことじゃないか。
もちろん、お祓いとかやれることは全部やったけどまるで効果ナシ。
事あるごとにあの霊は俺の元に首を吊った状態で姿を現し続けた。
それにしても一体俺が何をしたって言うんだ?こいつはどこの誰なんだ?
誓って言うが俺は誰かの恨みを買った覚えもないし、心霊スポットで罰当たりな振る舞いをしたことも一度も無い。
自分で言うのもなんだけど、これまで人の道に外れること無く誠実に生きてきたつもりだ。

勉強もスポーツも並だった俺の、それだけが矜持と言ってもいい。
それなのにこんな仕打ちはあんまりだ。
この理不尽な境遇にいつしか恐怖心よりも怒りが勝るようになってきた。
そしてまたある晩、性懲りも無く現れた首吊り男に向かって俺は半ばヤケクソになって怒鳴ってやったんだ。
「なんなんだよお前!言いたいことあるなら言えよ!」
暫くしてアイツはゆっくりまぶたを開いて白濁した目だけをこちらに向けて、苦しげにくぐもったか細い声をぽつりと漏らした。
「・・・・・・・・・・・ッタヨ・・・」
殆ど消え入るようなうめき声に近かったけど、でもなんとか聞き取れた。

そして俺は完全に打ちのめされてしまった。
この短い言葉でこいつが誰で、何故俺の前に現れるのか全てを理解できたから。

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