「墨田さんって今どうしてんだろーね。相変わらずひとりぼっちなのかなぁ」
すると千夏と愛香が不審げな目で私を見ているのに気付いた。
「どうしたの?二人とも」
「ねぇ・・・ 墨田さんて、誰?」
「えっ」
最初二人は冗談を言っているのかと思ったけど、どうやら本気で忘れているらしい。
「いやいや、ほら墨田さん。髪が長くて体育の時はいつも見学しててさ・・・」
いくら詳しく説明しても二人は顔を見合わせて首をかしげている。
確かに目立たない子だったけど、卒業して何十年も経っている訳じゃあるまいし忘れるなんて絶対あり得ないのに。
「待って、もっちーそんな怖いこと言うのやめてよ。もしかしてからかってる?」
「私は本気だって!そっちこそからかってんじゃないの?」
このままでは埒が明かないと思い、中央のボックス席に座っている学級委員長をしていた藤井さんに聞きに行った。藤井さんなら真面目に答えてくれるはずだ。だけど・・・
「墨田・・・さん?何言ってるの。そんな人いなかったでしょ。大丈夫?」
あっさり期待を裏切られあの二人と同じ様な反応を藤井さんにまで返されてしまう。
それならばと藁にも縋る思いで担任の石川先生の所まで行った。
男子生徒の輪の中で一際大きな声で笑っていた石川先生は私の話を聞くと腕を組み、眉間に深いしわを寄せて考え込む顔つきになった。
「墨田華子ぉ?知らんなぁそんな生徒は・・・今この場にいるのがクラス全員のはずだぞ?
おい、お前ら知ってるか?」
石川先生に問われた周りの男子生徒も口々に知らないだの初めて聞いただの否定してきたから、私は立つ瀬が無くもう引き下がるしか無かった。石川先生は誰よりも墨田さんを気にかけていたはずなのに。
覚束ない足取りで席に戻った私を千夏と愛香が心配そうな顔で見てくる。
「もっちー・・・もしかして疲れてたりなんか悩みとかあったりする?」
「ううん。大丈夫。やっぱ私の勘違いだったみたい。ごめんね変なこと言って。忘れて」
これ以上墨田さんの件を持ち出してこの場を白けさせるのも嫌だったから、私はそう言ってごまかした。
こうなると皆が忘れているというより、彼女は始めから存在してなかったと考えた方がいいかもしれない。となるとおかしいのは私の方なんだろう。
それからは墨田さんのことは一旦脇に置いて取り敢えず今は楽しもうと思い、他の友人達も交えて食事しながら談笑していた。
だけどこの得体の知れない恐怖感はじっとりと纏わりつき、完全には拭いきれなかった。
いつのまにか私の頭の中にふらりと入り込み、偽の記憶を植え付けたスミダハナコという謎の女生徒。
その原因も目的も何も分からないのがたまらなく不安をかき立てる。
彼女は何者で、私が一体何をしたというんだろう?
妙案を思いついたのは17時を過ぎてそろそろこの集まりもお開きになる頃。
























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