「…ちょとここでは何だから、今度会った時にまた話すわ。」
「そう…ですか。」
「じゃ、またね。」
Kちゃんのお母さんはそう言うと、その廃墟のようなアパートの1階の奥の部屋へ入っていった。
家に帰ってから母にKちゃんのお母さんと会ったことを話すと、怪訝そうな顔をして
「変ねえ、Kちゃんもお母さんも、もうこの町にはいないはずなんだけど…。」
「どういう事?」
「ここに戻ってくる時にこの町の事を色々聞いてみたら、Kちゃんは引っ越したんだって。」
「へーそうなんだ。」
「でも、実際には行方不明になったって話よ。」
「何それ。」
「なんでも、急に引っ越したから、クラスの保護者が不思議に思って調べてみたら、親子とも行方不明になっていたけど、親戚中で話し合って急に引っ越した事にしたらしいよ。」
「それって『夜逃げ』みたいな事?」
「どうだろうね…。だから、Kちゃんもお母さんも、この町にはいないはずよ。」
「…そうなんだ。」
この日はそれで話は終わった。
それから1か月ほど経ち、あのアパートの前を通った時の事だ。
この道は駅の反対側ということもあって、めったに通らない。
でも、何だか妙に気になって散歩がてら遠回りをして久しぶりにアパートを見に行くことにしたのだ。
すると、アパートはシートや足場に囲まれ、解体が始まっていた。
でも何かおかしい。
ただの解体なら業者や作業員の方々しかいないはずだが、なぜかパトカーが停まっていて、何人かの警察官がいるのだ。
私は思い切って警察官にどうしたのか尋ねてみると、1階の奥の部屋の床下から人骨らしき物が出てきたという。
詳しいことはこれから調べるからというので、私はとりあえずその場を去った。
数日後、テレビでニュースを見ていると、画面には例のアパートが映し出されていた。
アパートの床下から、親子とみられる二人分の人骨が発見されたそうだ。
























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