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ヒトコワ

筋首さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

用具庫の転校生
短編 2026/03/04 23:43 39view

これは、私が小学5年生の時の話です。

10月の終わりという中途半端な時期に、木嶋(仮名)という転校生が来ました。
無愛想で、よく遅刻するし、授業中にふらっと席を立ってどこかへ行ってしまう。
クラスでは浮いた存在で、誰かと話しているところを見たことがありません。
一部の女子は「悪そうでカッコイイ」と騒いでいましたが、
木嶋は相手にしていませんでした。

11月のある日。
当時いじめられていた私は、掃除の班で用具を戻す役を押し付けられ、
ほうきやちりとりを抱えて校舎の隅にある用具庫へ向かいました。
人目のつかない場所で、できれば早く済ませて立ち去りたいと思っていました。

扉を開けると、そこに木嶋がいました。
気まずくて目を合わせないようにしていると、
その日の木嶋はどこか傷ついたような顔をしていました。

不意に目が合いました。
戸惑う私に、木嶋はかすかに微笑みました。

「……お前なら話してもいいか」

急に声をかけられて驚きましたが、
木嶋が初めて見せた柔らかい表情に私は思わずうなずきました。

「オレな、新興宗教の村にいたんだ。
 逃げてきて、今ここにいる。……大人が信じられないから」

言われてみれば、木嶋はいつも何かに怒っているようでした。
遅刻や退席も、その反発だったのかもしれません。

「教祖様は最初は優しかった。
 でもだんだん怒りっぽくなって、言ってることもめちゃくちゃになっていった。
 それでも大人たちは嬉しそうに従ってた。
 父ちゃんも母ちゃんも」

宗教のことはよくわかりませんでしたが、木嶋が“裏切られた”と感じているのは伝わりました。

「教祖様が老衰で死んだんだけど……死んでないことにしようとしたんだ。
 誰かを教祖の姿に化けさせて、“教祖様は生きてる、言うことを聞け”ってな。
 ……馬鹿だろ。上手くいくわけねえのに」

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関連タグ: #いじめ#声#宗教
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