【 ベネズエラ侵攻 】
「2025年12月30日~2026年の元日まで、アルタミラのプラザ・フランシアで、無料コンサートが開かれます。この準備のため、フランシスコ・デ・ミランダ通りは両方向とも閉鎖されます。」と、チャカオ市長室から呼びかけがあった。
エル・ハティジョ市長室からはスクレ通りでDJやバグパイプグループによるコンサートが、
リベルタドール自治体ではプラサ・デ・ボリバルに国内外のアーティストが結集し、ペターレの万里の長城でも有名歌手による音楽公演が繰り広げられると広報があった。
ここ、ベネズエラ・ボリバル共和国の首都カラカスでは、新年を迎えるためのカウントダウンフェスティバルに向け、市民は大いに盛り上がっていた。
それがラテンのノリなのか、独裁者マドゥロ大統領に抑圧され、貧困に支配されているとはとても思えない陽気さが漂っていた。
いや、もしかしたらカラカス市民は、もうすぐもっと大きなお祭りがあることを感じていたのかもしれない。
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新年のお祭り気分とは裏腹に、緊張感に包まれている場所もあった。
ベネズエラ軍のレーダー監視施設である。
2025年の8月ごろから、アメリカはベネズエラに対して特に強硬な手段に出ていた。
カリブ海に展開した米南方軍の攻撃により米国へ向かうはずだった麻薬密輸船の多くが撃沈され、さらに石油タンカーも拿捕された。
12月初旬には、米CIA主導でのドローン攻撃があり、港湾地区を中心にいくつかの施設が爆撃を受けていた。この攻撃があったことは、29日になって突然米トランプ大統領の口から世界に明かされた。
それ故、ドローン攻撃を迎撃できなかったベネズエラ軍の間には強い緊張感が生じていた。
米トランプ政権は、何度でも攻撃すると明言していたからである。
新年を祝う雰囲気が街にまだ残る3日の深夜01:30頃。
エル・ボルカン通信施設のレーダー監視員は、おかしな波形を感知していた。
「これはいったい・・・ありえない・・・」
レーダーを監視していた兵士たちの間で、ちょっとしたざわめきが起こっていた。
「何事か?! 私語を慎み、状況を報告せよ」上官が命じる。
「高度2万メートル、米本土方面から飛来する物体を感知、速度はマッハ3を超えております」
「ふむ・・・米軍にはSR-71というマッハ3を出す戦略偵察機があるという。それか?」
「ち、違います・・・なにかはわかりませんが・・・」
「なんだ、ハッキリ言え!」
「敵機は現在、このカラカス上空で停止しております」
「なんだと? 上空で停止?・・・マッハ3で飛行し、上空で停止しているというのか??」
「はい・・・」
そのような航空機がこの世に存在するのか?はたまた米軍の新兵器なのか、
レーダー監視所内には上層部にどう報告すべきなのか、一瞬の戸惑いが発生していた。
が、その時間はそれほど長くはかからなかった。
監視所の兵士たちの間に、まるで静電気が発生したかのようなピリピリとした感覚が芽生え、鼻の奥にアクリル同士をこすり合わせた時のような独特な匂いを感じたその瞬間、そこにいた兵士たちがみな頭を抱えだし、激しい頭痛に苦しみだした。
鼻血を出す者、吐血するもの、全身を痙攣させ床に這いつくばる者・・・
























Manaです。自分で書いてて一番楽しい、朽屋瑠子シリーズ。今回は今年初めに大事件の起こったベネズエラを舞台に、朽屋の活躍を描いたものなります。少年と絡むことで、オネショタ好きな界隈には受けたかもしれないですね。途中から登場のミゲル隊長は自分の中ではランバ・ラルのイメージです。
ところで、自分的に一番ショックだったのが、これを書いてる最中にアメリカがイランを攻撃しちやって大変なことに・・・せっかく最新の戦場を描こうとしたのに、もう古くなってしまいました。
現実の方が物語より早いし、そんなシナリオ描けません。
まさかトランプさん、エプスタインとかから目をそらしたくてこんなことしてんじゃないでしょうね~なんて思ったり。
一応物語はフィクションということで、お楽しみいただければと思います。
・・・それでは、チャオ。