※読んだ人には、それがつくといわれています。
書いてる人間:2026/03/05(木) 21:44
(眠れない人だけ読んで)
うちの実家がある町には、祀り神と呼ばれるものがいる。
神社があるとか、そういう話じゃなくて、町そのものに紐づいているらしい。
その神のことは、家の外で話してはいけない。
家族内でも、長男だけには話してはいけない。
なぜ長男がだめなのかは誰も教えてくれなかった。
聞くと、おばあちゃんはいつも顔つきを変えて黙った。
父親は長男だったから、父親の前では誰もその話をしなかった。
子供のころのわたしには、その静けさだけが怖かった。
名前の由来は今もわからない。
地元の言葉が混じった呼び名で、外から来た人間には何を指しているのかが読めない。
地元を出るまでは、何も起きなかった。
上京して二年目の秋、友人にその話をした。
話しながら、どこかでいけないことをしていると思った。
それでも話し終えた。その夜から、変わった。
何かが来た、という言い方が正確かどうかわからない。
来たというより、増えた。部屋にいるはずのない何かが定数として加わった感じ。
音はない。見えるものも何もない。ただ、空間の総量が変わった。
怖いとは違う。怖いというのは、何かが自分に向かってくるときの感覚だと思う。
これは向いていない。向いているわけでも、背を向けているわけでもなく、ただある。
それが怖いより深くて、逃げるという選択肢が最初から存在していない感じがする。
最近、長男にだけ話してはいけなかった理由が、少しずつわかりかけている。
わかってしまったら、ここには書けないと思う。
























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