翌日からも今までと変わらず、いつもの時間にバスに乗り込むと、いつもの席にいつもの女子高生が座っている。
友人達の話を聞いたせいで、少しだけ不信感を抱きながら通学する日々が続いた。
月日が流れ、通学時も受験勉強をしないといけない時期になり毎朝、バスに乗り込むと参考書を読みながら通学する日々が続いた。
その時もいつもの席に女子高生が座っているので同じ年の子だと確信した。
無事に受験は合格し、あとは卒業するだけになった。
そして、卒業式当日。
今までお世話になったバスの利用も最後。
私は思い切って、あの女子高生にプレゼントを渡すことを決めた。
少ない小遣いで買ったネックレス。
渡すだけでいい!と心に決め、バスに乗り込んだ。
そして、女子高生が座っている隣の席へ。
「おはようございます。ここいいですか?」
「おはようございます。」と言い、微笑んだ。
「あの、突然で申し訳ないんですが、これ受け取ってください。」
ネックレスをポケットから取り出し、差し出した。
女子高生は何も言わないでこちらを見ている。
なんの反応もないまま、あっという間にバス停に到着した。微妙な空気に耐えきれず、女子高生の手を取り、無理矢理ネックレスを渡してバスを降りた。
バスを降りて、私はただ後悔だけしていた。
しかし、無理矢理でもネックレスを渡せたことでどこかスッキリした気持ちになった。
それから10年以上が経ち、地元に帰省した私は久しぶりにバスに乗り隣町まで行ってみることに。
バス停で待っていると、ほどなくしてバスが到着。入口が開き、乗り込むと、心臓が止まるんじゃないかというくらい驚いた。
女子高生が当時座っていた席に、あの女子高生が座っていた。あれから長い月日が流れたが、容姿は変わっていない。
立ち尽くしていると、入口のドアが閉まる音で我に帰り運転手の近くに座った。
後ろを振り向くことはできない。ただ、冷たくジッとこちらを見ているような視線をずっと感じていた。
隣町に着き、バスから急いで出ようとした時、
「あれ?あなた。高校生の頃、利用していた…」と運転手が話しかけてきた。
「えっ?あ、はい。さっき乗った駅からここまで通っていました。覚えてるんですか?」と尋ねると、
「あー、やっぱり!なんとなく印象に残ってたんだよー。早い時間帯だったよね?あの時間帯に高校生で利用する人少なかったから。毎日、1人で乗ってたよねー。」
軽く挨拶をして急いでバスを降りた。
あまりの出来事に心臓の鼓動が大きくなったいるのがわかる。
深呼吸をし、落ち着かせようとしながら走り去るバスの後ろを見ると、女子高生が後ろの窓からこちらを見ていた。
そして、どこからともなく
「おはようございます。ありがとう。」と聞こえてきた。
怖い