私が幼い頃、隣の家に土井という家族が住んでいて、私より1つ年上の女の子と2つ年下の男の子とよく3人で遊んでいた。
小学生の時は、帰宅後にどちらかの家で遊んだり、近所で色々な遊びをして過ごしていた。
中学生にもなれば部活や同じ年の友人達と遊んでいたりと、3人で会う機会は激減し、外でたまたま会った時に軽く挨拶する程度に関係性になってきた。
私が高校2年生の時、隣の家のおじさんが亡くなったと親から聞いた。
隣の家の妹弟の父親で、会うと優しく話しかけてきてくれる方で亡くなったと聞いた時はとても驚き、とても悲しかった。
火葬、お通夜、葬儀と私は父親と共に参列させてもらうことになり、故人との別れを惜しんだ。
月日が流れ、私が高校3年になる直前に隣の家のお姉ちゃんが進学するために家を出ることに。引っ越しも終えたようで出発する前日に挨拶をしに私の自宅を訪れてきた。
家族で出迎え昔話をしたりして軽く挨拶を終えた。そして、最後に話があると私だけ呼ばれたので外に出ることに。
神妙な表情で話始めた。
「実はあなたにお願いある。私が家を出ていった後にもし何かあったら助けてほしい。」
「えっ?あ、ああ…そりゃあ何かあったら行くよ。隣だし。」
正直、何を改まって言うのか私には理解できなかった。家のことが心配なんだなぁくらいにしかその時は思わなかった。
「何か心配なことでもあるの?」と尋ねたがなかなか返答がない。
ようやく、口を開くと思わぬ返答が返ってきた。
「おばさんやおじさんには言わないでほしいんだけど、お父さんが亡くなってから弟の様子がおかしくなって…」
「え?そうなの?しばらく見てないからわからなかった。」
「あの子、お父さん大好きだったからショックだったんだと思う。葬儀とか終わって落ち着いてきた時にあの子家出しちゃって…お母さんと探したんだけど見つからなくて、翌日になっても帰ってこなかったから捜索願出そうとしたら突然帰ってきて…それから引きこもりになるし、話しかけても反応ないし…帰ってきてからまともに顔も見てない…ただ、ご飯だけはキレイに食べるから最悪のことは起きないと思うんだけど…」
家が隣なのに、そのような状況になってるとは全然知らなかった。
「弟も心配だけど、お母さんも心配…何かあればお母さんが1人でやらないといけないから…最悪、誰かを頼ってと言ったんだけど、お母さんは多分誰にも頼らないと思う。だから、もし、家から異常な音とか、声がしたらすぐにかけつけてほしい。ごめんね。身勝手なお願いで…」
「わかった。何かあったらすぐに行くよ。ウチの人達には詳しくは言わないで、何かあったらお願いだってとだけ伝えておくよ。」
その後、軽く挨拶をしてそれぞれ家に戻った。
隣の姉ちゃんがいなくなって3ヶ月程経った日のこと。
夜中に突然、バキッという大きな音がして目が覚めた。
一瞬、何が起きたのか理解できず布団の中で耳を澄ましているとまた、バキッバキッと音がした。隣の家の方から聞こえたので急いで父親を起こし隣の家に向かった。
玄関には鍵がかかっており、中には入れない。
外から「土井さーん!どうされましたー?大丈夫ですかー?」と父親が呼びかけた。
しかし、何の反応ないので2人で顔を見合わせ、心配していると玄関の鍵が開き、
「すいません…夜中にご迷惑を…」
とおばさんが出てきた。
しばらく見てないうちにやつれたような感じになっていて少し驚いた。
「大丈夫ですか?」と父親が尋ねるがおばさんはぺこぺこと頭を下げてるだけだった。
「おばさん、何かあった時にすぐに入れるようにどこか1箇所だけ鍵を開けておいてほしいんですが…不用心なのはわかりますが、緊急時にはすぐに駆けつけますから。何かあってからじゃ遅いので。」と私は提案しました。
おばさんは渋々了承してくれて大きな窓の鍵を1箇所だけ開けておいてくれることになった。これで何かあったらすぐに中に入れるようになり私は何か少し状況が進んだようで安心した。
こわ
くっそ怖いし悲しいな