バラバラの亜里砂さん
投稿者:Mine (25)
肉体にも精神にも大きな負担のかかるこの仕事に、二人の顔は疲労の色が濃く滲み出ていた。
休憩を挟み、残りの作業に取りかかる。
先ほどから強烈な臭いが充満しているがマスクは気休めにもなってなく、もちろん窓を開けるわけにもいかず、えずき、涙目になりながらも左脚、両腕と解体を続けていく。
「しばらくお肉食べられないよ・・・」
何度も泣き言を漏らすシホに対して相変わらず塚本は口数少なく淡々と作業を進めていく。
こうして数時間に及ぶ全ての作業が完了した頃、外はすっかり闇に包まれていた。
死体はゴミ袋3つに分けられていた。
「ああ終わった・・・・・・。お疲れシホ。休んでろ。」
塚本は熱いシャワーで浴室にこびりついた血や脂を流していく。
一方、何度かトイレで戻していたシホは疲労困憊の体でソファに力無く身を横たえていた。
「あ、洗剤切らしてんな。朝買っときゃよかった・・・。ちょっと店行ってくるわ。」
着替えた後、全身に消臭スプレーをかけて車のキーを持った塚本は玄関に向かう。
その背中に追い縋る様にシホは訴えた。
「一緒に行く!死体と一緒に部屋にいるとかホント無理」
「お前といるとこをなるべく人に見られたくないんだよ。すぐ戻るから待ってろ」
なおも食い下がろうとするシホを強引に宥め、塚本は部屋を一人出て行った。
「信じらんない…」
シホはリビングへ行き不安感、恐怖心を紛らわす為にテレビを点けてバラエティ番組にチャンネルを合わせた。浴室の方向へは決して視線を向けないよう努めて意識しながら。
買い物を済ませた塚本が帰ってきたのはそれから20分後のことだ。
「ただいま。何も異常は無かったか?」
玄関からリビングへ呼びかけるも返事はない。
塚本の位置からはリビングに横たわっている2本の脚のつま先が少し見えた。
「・・・シホ?」
塚本は怪訝な声を上げ部屋に上がると、そこに広がっていた光景は。
「シホ!おいシホ!」
首から大量に出血して倒れているシホがいた。
首をぐるりと半周するように切り裂かれており、鮮血が首周りを染めていてまるで赤いスカーフを着けているようだった。顔面蒼白で誰が見てももう手遅れの状態である。
塚本は何度も呼びかけるが当然返事を返すはずもない。
「くそっ、誰がやった!どうなってんだ!」
部屋中を探し回るがしかしどこにも誰も隠れていない。
部屋を出る前は全ての窓は施錠されていた。先ほど帰宅した時は玄関ももちろん鍵はかかっていた。塚本は辺りをキョロキョロ見回す。すると。
部屋を出る前はちゃんと閉めてあったベランダ窓のカーテンが半分程開いていることに気付いた。しかしベランダ窓の鍵を確認してみるものの、そこもしっかり施錠されている。
かなり引き込まれる、いい(怖い)話でした。
流石に死体をバラバラにする様子は見てて気持ち悪いでしょうね😅